ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどで構成するBRICSはロシア西部のカザンで22〜24日に首脳会議を開く。イランなどが2024年1月に加盟して以来初めての首脳会議となる。参加国のさらなる拡大を協議する見通しだ。
議長国を務めるロシアのプーチン大統領は首脳会議に先立ち18日にモスクワで開いたBRICSビジネスフォーラムで「BRICS加盟国の経済は成長しており、外部からの影響や干渉にますます依存しなくなる」と強調した。
今回のBRICS首脳会議は24年1月にイランやエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピアが新たに加盟国になってから初の首脳会議となる。
ロシアのウシャコフ大統領補佐官は10日、38カ国に招待状を送付し少なくとも32カ国が参加を表明、首脳級24人が出席する予定だと明らかにした。同氏によるとロシアでの外交イベントとしては「これまでで最大規模」としている。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席やインドのモディ首相らが出席する。トルコのエルドアン大統領らBRICSへの加盟を新たに申請した国の首脳も加わる。
BRICSの加盟国は23年までは5カ国で、24年からはエジプトなど4カ国が加わった。サウジアラビアは加盟資格を認められたものの、これまでは加盟していないとの見解を示している。
ロシアのペスコフ大統領報道官は15日、サウジアラビアの加盟について「今回の首脳会議を踏まえて結論が出るだろう」と記者団に述べた。
ロシアは24年のBRICSのテーマに「公平な世界の発展と安全保障に向けた多国間主義の強化」を掲げる。
22年2月に開始したウクライナ侵略から2年半超が経過した。ロシアはBRICS首脳会議を通じて対ロ制裁に加わっていない中国やインドなど中立的な立場をとる国を取り込み、自国に有利な状況を築こうとしている。
柱の一つがBRICSが取り組む米ドルからの脱却だ。BRICS加盟各国の通貨による決済の拡大のほか、共通通貨の導入も23年に続いて議論するとみられる。
ロシアによるウクライナ侵略開始を受けて西側諸国は国際送金システムである国際銀行間通信協会(Swift)からロシアを締め出した。
ロシアは自国通貨ルーブルや制裁に加わっていない中国の人民元建ての決済を増やしており、BRICSの取り組みと自国の利益が合致する。
ロシア中央銀行がまとめた輸出決済における通貨比率によると、20年に84%だった米ドルなど非友好国の通貨シェアは24年7月に17%まで低下した。
ルーブルは15%から39%に上昇したほか、人民元などを含むその他通貨も直近で44%を超え、非友好国通貨とのシェアは逆転している。
ロシアは資源の輸出先について欧州連合(EU)などから中国やインドへの切り替えを進めてきた。
ロシア財務省が10日に発表した24年1〜9月の財政収支によると、歳入の柱である石油・ガス収入は前年同期比49%増加した。一時的ではあるものの、財政黒字を確保している。
国営ガス会社、ガスプロムのアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)は10日、「BRICSの枠組みでの協力」がロシアのガス輸出拡大につながるとサンクトペテルブルクで開いたガスフォーラムで述べた。
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