イタリア南部のナポリで19日に開かれるG7の国防相会合は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、中東情勢の緊迫化などを受けて初めて開催されることになり、ウクライナや中東への対応が主要な議題となります。
このうちウクライナをめぐっては、ゼレンスキー大統領が公表した、ロシアによる軍事侵攻を終わらせるためとしてまとめた「勝利計画」で、より射程の長い兵器でロシア領内を攻撃することへの許可などを求めていて、会合ではこうしたウクライナの要望も踏まえた軍事支援についても議論される見通しです。
さらに中東情勢をめぐっては、イスラエル軍の攻撃でパレスチナのガザ地区の犠牲者が増え続けるだけでなく、レバノンに駐留する国連の平和維持部隊も攻撃を受け多くの要員を部隊に派遣しているイタリアやフランスの政府からも強い批判が起きています。
G7の議長国イタリアのメローニ首相は、今回の国防相会合ではレバノン情勢への対応も議論する意向を示していて、G7として、地域の安定化に向けどう連携を示すのか注目されます。
G7の国防相会合について、イタリアのシンクタンク「国際問題研究所」で国際政治や安全保障について研究しているアレッサンドロ・マローネ氏は、11月のアメリカの大統領選挙を前に、会合が開かれることが重要な意味を持つと指摘します。
マローネ氏は17日、NHKのインタビューで、今回の国防相会合で議論される見通しのウクライナへの軍事支援について、「いまこのテーマを取り上げることは重要だ。アメリカで誰が大統領になっても来年のG7サミットで再び議論されるだろう」と述べ、アメリカでウクライナ支援に消極的な政権が生まれる可能性もある中、支援継続の必要性を確認する機会になるとしています。
また、中東情勢をめぐっては、G7の中でも、地理的に中東に近いヨーロッパでは、事態が緊迫化した場合に大きな影響を受けるため、強い危機感があると指摘します。
その上で、イスラエル軍がレバノンに駐留する国連の平和維持部隊を攻撃したことに関連して、「半年前や1年前と比べ、ヨーロッパでのイスラエルの友人は随分と少なくなった」と述べ、ネタニヤフ首相の強硬な姿勢を背景に、イスラエルに対する見方がG7のメンバーの間でもより厳しいものになりつつあるとしています。
そして、今回の国防相会合の共同声明は、イランとイスラエルの全面的な戦争を回避するため、中東地域の緊張緩和の必要性を強調したものになるという見方を示しました。
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