中国広東省の深圳日本人学校の男児(10)が男に刃物で刺され死亡した事件で、同校は14日、通学での授業を再開させた。外務省の予算なども活用し、当面は送迎バスや自家用車による通学を基本とするが、保護者の負担が増すため、長期的な安全対策が課題となる。

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 事件は、9月18日朝、男児が母親と歩いて登校していた際に起きた。学校まで約200メートルの地点だった。同校では半数以上の子が徒歩通学をしてきたことから、在広州日本総領事館などが対策を協議してきた。

 現地外交筋によると、送迎バスの本数やバス停を増やすほか、当面1カ月の措置として配車アプリを使った車での送迎に予算を付けたという。また、6月に蘇州で日本人学校の送迎バスが襲われる事件が起きていることも踏まえ、バス車内やバス停への警備員の増員も決めた。

 事件後に日本に一時帰国している児童や精神的な不安を訴える児童もいるため、これまでのオンライン授業も併用し、子どもの心のケアに努めながら、学校活動の通常化をめざすという。

 ただ、送迎バスの利用料金は1カ月に1人2万円を超える。複数の子どもがいる家庭は負担が大きくなることから「1カ月の間に新たな通学態勢と恒久的な警備態勢について固めていく」(外交筋)としている。(広州=小早川遥平)

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