【ワシントン=長尾里穂】日米の経済人が集まる日米財界人会議は11日、日米両政府への提言を共同声明としてまとめた。日米が半導体やAI(人工知能)・量子技術で優位性があるとしたうえで、AIについて、不必要な規制を敷かないように求めた。
今年で61回目となる同会議は10〜11日に米ワシントンで開催した。日米経済協議会(NTT澤田純会長)と米日経済協議会(S&Pグローバル最高経営責任者ダグラス・ピーターソン会長)を中心に、日米の経営者ら220人が集まった。
日米をはじめ各国政府はAIの安全利用に向けた規制作りを進める。ただ過度なルールは開発や利用の萎縮につながりかねない。声明では「AIに対する規制はリスクに応じた手法を採り、不必要な規制を行わない」よう求めた。澤田会長は「AIの活用と規制を両立できるよう、日米でリーダーシップを打ち出していきたい」と話した。
共同声明ではこのほか医療データの利活用に向けたルール整備に言及したほか、合成燃料や二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留するCCSなどの環境技術への両政府の支援を求めた。日米豪などによるインド太平洋経済枠組み(IPEF)や、EU(欧州連合)などとのサプライチェーン(供給網)強化の重要性も再確認した。
日本製鉄のUSスチール買収を巡っては、両政府に対して「投資の審査は国家安全保障の懸念に限定し、ルールに基づき公正に運用すべき」と要請した。
澤田会長は「政治に寄らずに適切なプロセス・ルールに基づいた審査をしていただきたい」と話した。ピーターソン会長は「日米企業の連携は何百万もの雇用を支え、国家安全保障の強化につながる。日本企業の米国への投資を支援する」と述べた。
日米両国は衆院選や米大統領選などの政治的イベントを控える。澤田会長は「(参加者の間で)政治の状況に関わらず、日米の経済・企業間の強固なつながりを継続したいと話した」と述べた。
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