日本人海外旅行客は新型コロナウイルス流行前の6割程度の水準にとどまっている

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための入国規制が緩和されて10月で2年となり、日本の観光地や食、文化に関する記事は注目度が高いようです。日本経済新聞社の英字媒体「Nikkei Asia」で9月に最も読まれたものを振り返ると観光関連が上位に入りました。外国人観光客が過去最高を更新する一方、その「影」の部分にも関心が高まっています。

ランキング首位は「旅への情熱を失った日本」。日本人の海外渡航者はコロナ禍前の6割程度、宿泊を伴う国内旅行も2023年秋から前年を下回っています。

都内の外資系企業で働く外国人のNikkei Asia読者は「日本への観光が急回復する裏側で、日本人の海外旅行の低迷の原因を探る視点は興味深い」と話しました。この記事の読者数を国別に見ると、米国をトップに、シンガポール、フィリピンと続きました。

【この記事の英文をNikkei Asiaで読む】 Japan, a tourism hot spot, is losing its passion for travel

2位は大手クレジットカード会社を対象とした独自のアンケート調査をもとにした記事でした。訪日客の増加で潤うだけでなく、実は日本のカード会社には負担となっていることを伝えました。国内カード会社が海外事業者に支払う費用が収入を上回るためです。

オーバーツーリズムに関する記事も読まれています。「東京都渋谷区が路上飲酒を禁止」は、10月から渋谷駅周辺で夜間の飲酒を通年で禁止する動きを報じました。背景には訪日外国人らによるマナーの悪化があります。ローカルニュースながら観光客に人気の行き先なだけに関心を集めたようです。

ファーウェイは自前OS「鴻蒙」への移行を進めている=ロイター

オピニオン 中国の「政治と技術」巡り見解多彩

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)について角度の異なる論考が注目を集めました。ニュースサイト「テックテックチャイナ」編集長のビビアン・トー氏は、ファーウェイの自前OSを巡り、アプリ開発企業に新OSへの対応を求める圧力が国内で高まっているものの、出てきたアプリは品質や機能面で不完全なものが目立つと述べました。

【この記事の英文をNikkei Asiaで読む】 Huawei's HarmonyOS puts China's tech world in awkward spot

メルカトル中国研究センターの上級アナリスト、アントニア・フマイディ氏は、短期的利益を犠牲にしてでも国家戦略に貢献することで、同社が技術革新の新たな「モデル」を示していると評価しました。

【この記事の英文をNikkei Asiaで読む】 Huawei shows Chinese firms can profit by playing long game
米投資会社KKRのヘンリー・クラビス氏の「私の履歴書」を英文で読める

ライフ&アーツ 本人の筆致で読む「私の履歴書」

日本経済新聞で1日から連載している米投資会社KKRの共同創業者兼会長、ヘンリー・クラビス氏の「私の履歴書」は英語でも読むことができます。同社は成長が鈍った企業を買収し、資本や経営陣を提供して経営を改革するプライベートエクイティのパイオニア。企業価値を高めた企業を売却して得る収益は投資家である公的年金基金などに還元され、教師や消防士など市井の人々も潤う資本主義の一形態を示しました。

英語版には日本語版にはない独自の表現や視点が含まれており、クラビス氏の人生を著者本人の筆致でより深く知ることができます。

【ヘンリー・クラビス氏「私の履歴書」英文をNikkei Asiaで読む】 My Personal History - Henry Kravis

国・地域別トップアクセス

@タイ 東南アジアでQR決済拡大

スマートフォンを使ったQRコード決済が東南アジアで拡大しています。観光地での旅行者向けサービスや国境を越えた相互決済システムの整備などで利便性が高まり、店頭での支払い以外にも様々な場面で使われるようになってきました。特にタイ、マレーシア、カンボジアでの取引額の伸びが顕著です。東南アジア各地のNikkei Asiaの記者からの最新情報をまとめました。

@ベトナム 台風直撃でハノイの空港閉鎖

ベトナムに9月7日に上陸した超大型台風ヤギ(台風11号)の影響で、ベトナムは首都ハノイ、ハイフォンなど北部の主要都市4空港を閉鎖しました。周辺には世界遺産があるハロン湾があり、観光客の足に影響が出たほか、中国から生産移転した多くのテック関連企業が集積しており、生産活動に大きな支障が出ました。中国にも上陸し、香港株式市場は閉鎖を余儀なくされました。

@台湾 勾留の野党党首「党存続のため闘う」

台湾では第2野党、民衆党の柯文哲党主席(党首)の単独インタビューが読者の関心を集めました。台北市長時代の汚職の疑いで逮捕後に釈放され、裁判所が勾留を認める直前に行ったもので「党の存続と発展のために闘う」と逮捕の不当性を訴えました。民衆党は、民進党と国民党の二大政党で割れる立法院でキャスチングボートを握りましたが、党存続の危機に直面しています。

@マレーシア カナダのコーヒー店が進出

カナダ発の大手コーヒーチェーン「ティム・ホートンズ」が8月にマレーシアに進出しました。元々お茶を飲む習慣が根付いていたマレーシアですが、ミレニアルやZ世代の若者を中心にコーヒーの消費がここ数年で急増。国内では新興カフェチェーンも登場し、店舗数を拡大しています。

トップページ刷新 週末版をスタート、特集記事も一新


Nikkei Asiaの週末版トップページ
Nikkei Asia (asia.nikkei.com) はこのほど、トップページのデザインを刷新し、週末版もスタートしました。毎朝(月〜土)公開する特集記事のラインアップも一新し、テックやマネーなど個別のテーマごとにニュースを深く掘り下げます。

新しい特集記事のラインアップは以下の通りです。

月曜日―Trading Asia 東京・香港・シンガポールを中心にアジアの株式・為替・商品市場の先行きを分析する、市場参加者には必読な週初コラム。

火曜日ASEAN Money ASEAN域内で台頭する超富裕層に焦点を当て、彼らがどのようにして富を蓄え、運用しているかを深掘りする。

水曜日Tech Asia 半導体や電気自動車(EV)などテック分野の最先端技術やサプライチェーンの動向を詳しく分析する。同名のポッドキャストプログラムとも連動し、テックエディターと専門記者が取材の裏側を解説する。

木曜日China up close 中沢克二・日本経済新聞編集委員(元中国総局長)が中国・習近平政権の内幕に迫る「習政権ウオッチ」の英訳版。

金曜日Policy Asia アジア各国のデジタル・通商、脱炭素を巡る各種政策や規制の最新動向、ビジネスに影響を与える地政学ニュースを深読みする。

土曜日Big in Asia アジアの消費トレンドなどに焦点を当てた読みものや、各界著名人へのビッグ・インタビューなど、週末にじっくり読んで欲しいコンテンツを動画などを交えてグラフィカルに表現する。

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