【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングは8日、9月の納入機数が前月比18%減の33機だったと発表した。9月中旬から大型ストライキが発生したことで工場の生産が停滞した。スト開始からまもなく1カ月で影響が広がっている。
9月の納入は小型機737が30機、中型機767が1機、同787が2機、大型機777がゼロだった。737、767、777を製造する米西部ワシントン州の工場は9月13日からストで稼働をほぼ停止し、出荷が滞った。
24年1〜9月の納入機数は前年同期比22%減の291機だった。日本企業は777で21%、767で15%の比率で機体生産に参加しており、影響が波及しそうだ。民間機の主要工場では南部サウスカロライナ州の787の製造工場だけが稼働している。
ボーイングの工場の混乱はストの前から発生している。24年1月に飛行中の737の胴体に穴が開く事故が発生し、製造品質問題が発覚。工場の生産ペースを落として品質の改善を図っていたさなかのストだった。ボーイングは年内に737の生産を月38機に高めたい方針だったが、達成が25年にずれ込む可能性が高まっている。
新規受注も不振だ。24年1〜9月は315機で前年同期比6割も落ち込んだ。
賃上げと年金などを巡る労使交渉がこじれてストは9月13日に始まった。組合員3万人以上が西部ワシントン州シアトル郊外の工場群などでストに入った。
妥結の見込みは立っていない。組合は7日の労使交渉後、「ボーイングと1日中会ったが、報告するような意味のある動きはなかった」と話した。交渉は長引く様相を見せている。
ボーイングは組合に4年間で30%の賃上げを提案。組合は40%を求めており平行線が続く。加えて、組合は14年に廃止された従来型企業年金の復活を要求。ボーイングは確定拠出年金への会社拠出額の増加を提案している。
ボーイングの財務は悪化している。格付け大手S&Pグローバル・レーティングスは8日、格付けを引き下げる懸念があると表明した。ボーイングの格付けは「投資不適格」になる一歩手前の水準。
ストなどの混乱で24年に約100億ドルの現金が流出するという。財務体質を改善するために新株発行による100億ドル規模の資金調達を迫られるとの見方が強まっている。
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