【ニューヨーク=長尾里穂】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した9月の米製造業景況感指数は47.2と前月から横ばいで、好不況の分かれ目の50を6カ月連続で割り込んだ。市場予想(47.6)も下回った。企業は米連邦準備理事会(FRB)が始めた利下げや米大統領選の自社への影響を見極めており、新たな投資を手控えている。
指数は3月に一時的に50を超えたが、過去2年ほどは50を下回る「不況」水準での推移が続く。サービス業の指数がおおむね50を上回っているのと対照的で、米製造業で景況感が上向かない様子を示す。
個別の項目では、新規受注を表す指数が46.1で前月比1.5ポイント上昇し、生産活動の指数も49.8で5ポイント上がった。ただ、節目の50は割り込んだままだ。在庫に関する指数は43.9と6.4ポイント下がった。
調査対象の企業からは「受注率の低迷が続いているため、生産と需要のバランスをとるために生産を調整している」(機械)。「金利引き下げの影響は、2025年の第1四半期までは実感できないだろう」(金属加工製品)といった声が上がった。
ISMで調査を担ったティモシー・フィオレ氏は「企業は資本と在庫への投資に消極的で需要は低迷したままだ」と指摘した。「事業者は利下げと米国選挙の結果の影響を待っており、2025年の事業計画に焦点を合わせている」と付け加えた。
米景気の先行きで焦点になる雇用環境を表す指数は43.9と2.1ポイント下がり、4カ月連続で50を下回った。企業からは需要の低迷に合わせる形で雇用を調整しているとの声が聞かれた。
納期を示すサプライヤー指数は52.2と1.7ポイント上がった。この数値は指数が高いほど納期に遅れが生じていることを意味する。今後は米南部に9月26日に上陸したハリケーン「へリーン」や、1日から始まった港湾労働者のストライキの影響が反映される見通しだ。材料や部品の供給不足でインフレ圧力が強まる懸念がある。
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