イスラエル軍は26日、兵器の輸送に使われているとしてレバノンとシリアの国境地帯にあるヒズボラの拠点を空爆したほか、首都ベイルートへの空爆でヒズボラの幹部を殺害したと発表しました。
また、イスラエル北部のレバノンとの国境地帯では、地上作戦も想定した訓練を完了したと発表するなど地上作戦への備えをアピールしています。
一方、ヒズボラもイスラエル北部の軍需企業に向けてロケット弾を発射したなどと発表し、攻撃の応酬が続いています。
イスラエル軍がレバノンへの地上作戦の可能性に言及する中、アメリカと日本、フランスなどは25日、共同声明でイスラエルとレバノンの国境地帯での21日間の停戦を呼びかけています。
ただ、イスラエル側からは否定的な反応が相次いでいて、このうちカッツ外相は「停戦はないだろう。ヒズボラに勝利し、避難している住民を帰還させるまで戦いを続ける」とSNSに投稿しました。
また、イスラエル首相府も「ネタニヤフ首相は軍に全力で戦闘を続けるよう指示している」とする声明を出しています。
ネタニヤフ首相は27日、国連総会で演説する予定で、どのような発言を行うかが焦点となっています。
米国防長官「壊滅的な結果もたらす戦争のリスクに直面」
アメリカのオースティン国防長官は26日、訪問先のイギリスでの記者会見で「イスラエルとレバノンの双方にとって、壊滅的な結果をもたらすであろう全面的な戦争のリスクにわれわれは直面している」と述べ、危機感を示しました。
そのうえで「軍事的ではなく、外交的な解決だけが、国境そばで避難を強いられている双方の人たちが自宅に戻ることができる唯一の方法だ」として改めてイスラエルとレバノンの国境地帯での21日間の停戦が必要だと訴えました。
また、記者から「イスラエルが、ヒズボラとの戦闘に関してアメリカの呼びかけに耳を傾ける確信はあるか」と問われ、オースティン長官は「われわれの外交官が停戦を実現できるよう模索し続けていると信じている。ただ、懸命に取り組まなければならないことがあると認識している」と述べました。
アラブ連盟「停戦を呼びかけられているのはイスラエル」
アメリカなどが呼びかけているイスラエル軍とヒズボラとの停戦について、レバノンを含むアラブの国や地域で作る「アラブ連盟」のアブルゲイト事務局長は26日、ニューヨークの国連本部で開いた会見で「イスラエル側が攻撃を仕掛けているのだから、停戦を呼びかけられているのはイスラエルのほうだ」と述べ、停戦を実現するにはイスラエル側がまず攻撃をやめるべきだとする考えを強調しました。
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