レバノン情勢で国連安保理 緊急会合開催

イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの間で、攻撃の応酬がエスカレートする懸念が高まる中、国連の安全保障理事会で25日、緊急会合が開かれています。

緊張の緩和に向け、一致した対応を打ち出せるかが焦点です。

イスラエル軍がレバノンでの地上作戦の可能性も示唆し、緊迫度が増す中、国連総会に出席するためニューヨークに集まっている各国の首脳からも懸念の声があがっています。

このうち、イギリスのスターマー首相は25日、「暴力の連鎖をとめる政治的解決を安保理に求める。地域は瀬戸際にある。軍事的解決はなく、安全は外交を通してもたらされる」として外交努力を呼びかけました。

こうした中、安保理は現地時間の25日夜、日本時間の26日午前、レバノン情勢をめぐる首脳級の緊急会合を開きます。

国連のグテーレス事務総長や、理事国以外のイスラエルとレバノンも出席する予定です。

これを前に今月の安保理の議長国、スロベニアのゴロブ首相は25日、会見で「緊張緩和をただ呼びかけるだけか、それともこの数日か来週までの間に決議を出せるかは、安保理の理事国、特にアメリカしだいだ」と述べ、一致した対応を打ち出すためには、イスラエルの同盟国であり、安保理で拒否権を持つアメリカの対応が鍵を握るという認識を示しました。

そのアメリカのブリンケン国務長官は25日、「全面戦争を回避し、イスラエルとレバノンの人々が故郷に戻れることにつながる外交プロセスに移行するため、パートナーとともに精力的に取り組んでいる」と述べ、外交的解決を目指す考えを強調しました。

ヒズボラ 弾道ミサイルを使いイスラエル中部へ攻撃

レバノンのヒズボラは25日、イスラエル中部にある最大の商業都市、テルアビブ郊外の情報機関モサドの本部に向けて弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。

イスラエル軍はこれを迎撃したものの、ヒズボラが射程の長い弾道ミサイルを使ってテルアビブ郊外などイスラエル中部へ攻撃をしたのは今回の戦闘では初めてとメディアで伝えられ、市民からは不安の声が聞かれました。

イスラエル軍は25日、ロケット弾の発射台やヒズボラの拠点など、あわせて280か所以上を攻撃したと発表したほか、北部地域での戦闘のため、予備役の2つの旅団を招集すると発表しました。

また、イスラエル軍のハレビ参謀総長は、北部で行われている軍の演習現場で兵士に対し、「われわれはレバノンへ一日中攻撃を続けているが、これは、起こりうる地上作戦に向けた準備を整えるとともに、ヒズボラを弱体化させるためのものだ」として、地上作戦の可能性に言及しました。

攻撃の応酬が続く中、レバノンの保健省は、25日の攻撃で50人以上が死亡したと発表し、国連は一連の戦闘の激化で9万人以上が新たに住まいを追われたとしています。

レバノンには内戦が続く隣国シリアからもともと多くの難民が避難していて、戦闘の激化とともに、レバノンの人道状況の悪化も懸念されています。

イスラエル最大商業都市 テルアビブ 市民から不安を訴える声

25日朝、ミサイルなどへの警戒が呼びかけられたイスラエル最大の商業都市テルアビブでは、市民から不安を訴える声が聞かれました。

妻が妊娠中だという42歳の男性は、「家とは違う建物にあるシェルターに逃げこみました。とても怖かったです。数日はなんとか乗り切れると思いますが、状況が悪くなる一方なので、戦争を止める必要があると思います」と話していました。

双子が9月に生まれたばかりだという35歳の男性は、「すぐにアパートの中のシェルターへ避難しましたがとにかく慌ただしかったです。子どもたちが寝ていてくれて助かりました。テルアビブ周辺に向けて攻撃があるだろうとは予想していましたが、続かないことを願っています」と話していました。

アメリカ ブリンケン国務長官 外交的解決を目指す考えを強調

アメリカのブリンケン国務長官は25日、国連総会に合わせてニューヨークで開かれたペルシャ湾岸の6か国で構成するGCC=湾岸協力会議との外相会合に出席しました。

会合の冒頭、ブリンケン長官は、レバノン情勢に触れ「全面戦争を回避し、イスラエルとレバノンの人々が故郷に戻れることにつながる外交プロセスに移行するため、パートナーとともに精力的に取り組んでいる」と述べ、外交的解決を目指す考えを強調しました。

そして「われわれはイランによる情勢を不安定化させるような行動を抑止するためにも協力しなければならない。フーシ派やヒズボラなどをたきつけることをやめるようイランに圧力をかけるため、われわれが持つ影響力を行使することを強く求める」と述べました。

カタール ムハンマド首相兼外相 解決策を見いだす必要がある

カタールのムハンマド首相兼外相は「ますます危険で憂慮すべき情勢になってきている。われわれには阻止する責任があり、解決策を見いだす必要がある」と述べ、地域全体に戦闘が拡大するのを防ぐため取り組む考えを示しました。

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