【パリ=北松円香】フランスで21日、9月上旬に就任したバルニエ首相の内閣の閣僚人事がようやく決まった。重要ポストの一つである内相に移民に対する強硬姿勢で知られるブリュノ・ルタイヨー氏を指名した。
フランスの政治制度は大統領が首相の提案に基づいて閣僚を指名する。中道右派の共和党に所属するバルニエ氏の意向を反映し、保守色の濃い顔ぶれとなったとみられる。
マクロン政権初期から7年間経済・財務相を務めたルメール氏の後任に国民議会(下院)議員でマクロン大統領率いる与党所属のアントワヌ・アルマン氏(33)を起用した。
欧州連合(EU)の基準を超えて大幅に悪化した財政を立て直し、仏国債の金利を安定させる難題が待っている。
外相にはジャンノエル・バロ氏が決まった。アタル前内閣で務めていた外相付の欧州担当相から昇格した。ルコルニュ国防相は続投する。
仏メディアによるとマクロン氏とバルニエ氏の意見が食い違ったほか、左派政治家が入閣を辞退するなどして人選は難航したもようだ。内閣は主に与党連合と共和党で構成した。左派出身の閣僚は法相に就任するディディエ・ミゴー氏のみだ。
7月に決選投票があった下院選は与党連合が大幅に議席を減らし、2番手に転落した。左派連合の新人民戦線(NFP)が最多の議席を得たが、マクロン氏はNFPが推薦した首相候補を拒否して少数野党の共和党から首相を選んだ。
左派は態度を硬化させている。21日にはパリやマルセイユなどフランス各地で、バルニエ内閣に抗議するデモが広がった。
バルニエ内閣はNFPや極右の国民連合(RN)の判断次第で、いつでも内閣不信任決議案が成立する不安定な状況にある。
バルニエ内閣にとって、10月1日から始まる国会で左派や極右の批判をかわしつつ、いかに2025年度予算を成立させるかが最初の関門だ。
英国のEU離脱時にEU側の首席交渉官を務めたバルニエ氏が、首相としても高い交渉力を発揮できるかがカギとなる。
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