記者会見するブリンケン米国務長官(10日、ロンドン)=ロイター

【カイロ=時事】ブリンケン米国務長官は10日、停滞するパレスチナ自治区ガザの停戦交渉に関し、「問題点の90%以上は合意ができている」と改めて語った。その上で「わずかに残った課題は困難だが、完全に解決可能だ」と述べ、交渉妥結に向け、イスラエルとイスラム組織ハマスの溝を埋める努力を続ける考えを強調した。ロンドンで記者団に語った。

ブリンケン氏は、米国と共に仲介役を務めるカタールやエジプトと集中的な協議を継続していると指摘。新たな停戦案を「極めて近いうちに双方へ提示する」と表明した。ハマスの最高指導者シンワル氏にも言及し「彼が何を考え、彼にとって何が利益なのかは分からない」としつつ、「停戦を目指すわれわれの決意は固い」と語った。

一方、ロイター通信によると、イスラエルのガラント国防相は10日、軍部隊の訓練を視察。北方に隣接するレバノンを念頭に「重心は北部に移っている。南部での課題は終了しつつある」と述べ、ガザでの作戦が目標達成に近づいているとの認識を示した。

イスラエルはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦を続けており、それへの対応に注力する必要性を強調したものとみられる。イスラエル軍は10日、ヒズボラの精鋭部隊司令官の一人を殺害したと発表した。

AFP通信によれば、世界保健機関(WHO)報道官は10日、ガザの中部と南部で子供へのポリオ(小児まひ)の予防接種が終了し、同日に北部で始まったと明らかにした。ただ、WHOのチームがイスラエル軍による妨害を受け、予定を中止する事態も発生。国連高官の説明では、職員が兵士に銃を突き付けられたり、ブルドーザーで車両を破壊されたりするケースが確認された。

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