「国際詐欺会議」は、SNSなどを悪用した詐欺の手口が巧妙化し、世界中で被害が深刻化している現状を踏まえ、各国の機関が捜査手法を共有し連携強化を図る目的で今回、初めて開かれました。
投資名目の詐欺の被害が去年1年間に日本円でおよそ6900億円にのぼったアメリカや、恋愛感情を抱かせる「ロマンス詐欺」の被害が急増しているイギリス、オーストラリアなど、およそ20の国や機関の担当者が参加しました。
会議では、警察庁の露木康浩長官が偽のネット広告を入り口にした投資名目の詐欺が社会問題化している日本の現状などを説明したうえで、「スマートフォン1台あれば世界中どこからでも詐欺を敢行できる現代において極めて困難な闘いだが、下を向いてはならない。手を携え共に闘うことで克服できると確信している」などと述べました。
このあと、ICPO=国際刑事警察機構の担当者が詐欺をめぐる各国の情勢や、具体的な手口について発表し、詐欺グループが偽の動画や音声をAIで生成するなど先端技術を詐欺に悪用していることや、暗号資産を使った資金洗浄を行っていることなどを説明していました。
世界各国の被害状況は
日本
警察庁によりますと、国内では、ことし7月までにSNSでうその投資話を持ちかける投資名目の詐欺や、恋愛感情を抱かせて金銭をだましとる「ロマンス詐欺」の被害がおよそ779億円にのぼり、去年の同じ時期を603億円上回っているほか、「オレオレ詐欺」など従来型の特殊詐欺の被害も去年を48億円上回る283億円にのぼっているということです。
アメリカ
アメリカでは、投資名目の詐欺の被害が去年1年間で日本円でおよそ6900億円にのぼり、おととしと比べて40%近く増加しました。
また、パソコン画面に「ウイルスに感染した」などとうその警告を表示させ、海外のコールセンターに電話をさせて金銭をだまし取る手口でも、年間およそ1400億円の被害が出ているということです。
イギリス
イギリスでは、「ロマンス詐欺」の被害が去年175億円にのぼりました。
ロマンス詐欺の手口では西アフリカに拠点をおいたグループが、その他の投資名目の詐欺ではイギリス国内やほかのヨーロッパ各国、東南アジアを拠点にしたグループが関与するなど、手口ごとに異なる国から詐欺が仕掛けられている状況がうかがえるということです。
フランス オーストラリア
フランス、オーストラリアでも、ロマンス詐欺の手口が急増しているということです。
カナダ
カナダでも、去年1年間の詐欺の被害額はおよそ820億円にのぼっていて、警察官や親族をかたるなど、日本の特殊詐欺に似た手口の被害が広がっているということです。
シンガポール
東南アジアでも被害は深刻で、シンガポールでは、去年1年間の詐欺の被害件数がおととしと比べて47%増加し、被害額はおよそ723億円にのぼっています。
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