【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアの資源大手BHPグループが英同業のアングロアメリカンに買収を提案していたことが25日、分かった。ロイター通信などが報じた。鉱山業界では近年買収が相次いでおり、実現すれば業界の寡占が一段と進みそうだ。
アングロは南アフリカなどで鉄鉱石生産を手掛けるほか、ディーゼル車の排ガス触媒に使うプラチナや銅の主要生産者だ。ダイヤモンド世界大手のデ・ビアスを傘下に持つ。時価総額は560億豪ドル(約5.7兆円)。
買収の提示価格や詳細な条件は明らかになっていない。アングロ側は「法的拘束力がなく、条件が多い提案」を受け取ったとしている。取締役会の審議を経て交渉を進めるかを決める。ロイター通信によると、英国の法制度上、BHPは5月22日までに正式なオファーを提示する必要がある。
BHPは時価総額で世界首位の鉱山会社だ。鉄鉱石や銅、ニッケルを生産する。2023年に豪州の銅大手OZミネラルズの買収を完了したばかりだ。同社は日本経済新聞の取材に対し、今回の提案について「現時点でノーコメント」とした。
アングロは主要な金属の値下がりを背景に株価下落が続いていた。BHPは車載電池材料に使うニッケルの相場下落に直面し、西豪州で手掛けるニッケル採掘・精錬事業を休止するかどうかを8月までに決める予定だ。
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