【ニューヨーク=清水石珠実】米IBMが24日に発表した2024年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比1%増の144億6200万ドル(約2兆2450億円)、純利益が同73%増の16億500万ドルとなった。企業の間で生成AI(人工知能)への関心が高まり、法人向けAI「ワトソンX」に対する需要は拡大したが、世界経済の先行き懸念からインフラ部門は伸び悩んだ。
IBMは同日、米ソフトウエア会社のハシコープを買収することで合意したことも発表した。買収合意によると、IBMはハシコープの企業価値を64億ドルと判断した。ハシコープは複数のクラウドサービスで構築する「マルチクラウド」の分野に強みを持つ。24年末までの買収手続き完了を見込む。
1〜3月期の1株利益は1.72ドル。特殊要因を除くと1.68ドルと、市場予想(1.60ドル程度)を上回った。だが、売上高が市場予想(145億3000万ドル程度)を下回ったことを受けて、IBMの株価は時間外で一時8%以上下げている。
IBMは23年5月にワトソンXを発表した。アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は決算資料なかで「ワトソンXと生成AIに関する事業の規模がすでに10億ドルを超えた」と語った。
部門別の売上高をみると、AI需要拡大の恩恵を受けたソフトウエア部門は6%増の58億9900万ドルとなった。一方で、コンサルティング部門は51億8600万ドル、企業の基幹業務で使うメインフレーム(大型汎用機)の販売などを手掛けるインフラ部門は30億7600万ドルと、それぞれ前年同期の水準をわずかに下回った。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。