【パリ=北松円香】スペインのサンチェス首相は24日、進退を検討するためにしばらく公務を控えると発表した。29日にメディアに対して結論を明らかにするとしている。極右勢力とつながりがあるとされる団体がサンチェス氏の妻を利益誘導で告発し、裁判所が予備捜査の開始を決めたことへの対応だと説明した。
サンチェス氏はX(旧ツイッター)で妻は無実だと主張し、告発は極右による政治的意図を持った攻撃だとの見解を示した。公務を休むのは妻への攻撃が度を超しており、「首相続投にそこまでの価値があるのか、自らに問いかける必要がある」からだという。
ロイター通信によると極右と関係があるとされる団体「マノス・リンピアス」がサンチェス氏の妻のベゴニャ・ゴメスさんを告発し、24日に裁判所が予備調査の開始を決めた。
同団体はゴメスさんが自身が運営する大学院の修士課程のスポンサーを得るために首相の妻としての影響力を利用したと主張している。
サンチェス氏はXで中道右派の国民党(PP)のフェイホー党首や極右政党ボックス(VOX)のアバスカル党首もマノス・リンピアスと「協力した」と批判した。
サンチェス氏は政治的危機に際して、リスクを取った行動で劣勢を挽回しようとする傾向がある。今回の発表も右派への反撃を狙った可能性がある。
地方選で自身が率いる穏健左派の社会労働党(PSOE)が大敗した2023年5月も、年末とみられていた総選挙を7月に前倒しで実施すると発表。総選挙ではぎりぎりで右派の絶対過半数獲得を阻止し、首相続投に成功した。
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