司法省によるグーグル独禁訴訟の一審勝訴で、便乗する動きが増える可能性がある=ロイター

【シリコンバレー=渡辺直樹】口コミサイトを運営する米イェルプ(Yelp)は28日、米グーグルが地域情報のインターネット検索で競争を阻害しているとして提訴した。5日に別の連邦地方裁判所でグーグル検索の独占を認める判決が出たことで、追い風が吹いていると判断した。便乗して巨大企業に対抗するケースが増える可能性がある。

米西部カリフォルニア州の連邦地裁で裁判を起こした。訴状によると、グーグルが検索エンジンの支配力を利用し、地域情報の検索で不当に優位性を生み出していると主張している。反トラスト法(独占禁止法)に基づき、損害賠償と反競争法的な行為の差し止めを求めた。

イェルプはレストランを口コミで評価する日本の「食べログ」に近いサービスを手がける。グーグル検索にサービス利用者流入の多くを頼っている。

ただ、利用者がグーグルで近隣のレストランを検索すると、口コミ情報を含むグーグルマップのサービスが上位に表示される点が競争を阻害するとイェルプは指摘した。グーグルが自社のサービスを優遇し、広告収益を得ていると主張した。

グーグルの検索シェアは約9割を占める。1日約90億回の検索のうち、3分の1が近隣の情報を調べるローカル検索で、モバイルでは約半分を占めるという。

グーグルの広報担当者は「イェルプの主張は新しいものではない。同様の主張は数年前に米連邦取引委員会(FTC)によって却下され、最近では司法省の訴訟で判事によって却下された。イェルプが言及している判決の他の点については上訴しており、価値のない主張に対し、断固として自らを守る主張をしていく」とコメントした。

5日には米首都ワシントンの連邦地方裁判所が独禁当局の司法省や各州の訴えを認め、グーグルが検索や文字広告で独占状態にあることを認める判決を出した。同社は上訴する計画だが、大型独禁訴訟の一審判決は波及効果をもたらすという見方もある。

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