著名投資家のウォーレン・バフェット氏=AP

【ニューヨーク=斉藤雄太】28日の米株式市場で著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの株価が上昇し、時価総額が一時1兆ドル(約144兆円)の大台を突破した。アップルやマイクロソフトなどのテック大手以外では米企業で最初の「1兆ドルクラブ」入りとなった。

バークシャーの株価は28日午前に前日比1%強上昇する場面があった。昨年末からの株価上昇率はおよそ3割に達し、代表的な株価指数のS&P500種株価指数(18%)を上回る。米景気の先行き不安が増すなか、長年にわたって高い運用成績を積み重ねてきたバフェット氏への信頼感を映している。

バークシャーは機動的に保有株を入れ替えている。3日に公表した4〜6月期の四半期報告書によると、6月末のアップル株の保有時価は842億ドルで3月末時点から38%減った。3四半期連続の減少となった。最近は米銀大手バンク・オブ・アメリカの株式も段階的に保有を減らしている。

現金などに米短期債の保有額を合わせた広義の手元資金は6月末時点で2769億ドルだった。3月末と比べて5割近い急増になった。バフェット氏は5月のバークシャーの株主総会で「資金を(新規投資に)振り向けたいが、低リスクで大きな投資収益が見込める企業でなければ投資することはない」と語った。

足元の米株相場は景気減速下でも米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を支えに最高値圏で推移する。バフェット氏は今後の相場の調整局面も見据え、投資に動く機会をうかがっている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。