【ソウル=共同】ソウル中央地裁は28日、1965年の日韓請求権協定に基づく日本の拠出資金で個人補償が十分行われなかったのは不当だとして、元徴用工の遺族らが韓国政府に賠償を求めた2件の訴訟について、請求をいずれも棄却した。元徴用工らの個人請求権は同協定で消滅していないとした韓国最高裁の確定判決を踏まえ、徴用するなどした日本企業への請求が妥当だと判断した。
日本企業への賠償命令判決が相次いでいる韓国司法の流れに沿った判断となった。
地裁は「不法な植民地支配に直結した日本企業の不法行為」に対する請求権は協定の適用対象外とした2018年の最高裁判決にも言及。今回の訴訟は請求権の喪失を前提としているとして「(韓国の)最終的な法的見解と異なり、酌むべき事情がない」と指摘した。
遺族会幹部の崔容相氏は判決後「韓国政府はこの資金に関して一切(補償する)責任がないのか」と述べ、控訴する考えを示した。
日本が拠出した資金は多くがインフラ整備などに使われ、経済発展の基礎を築いたとされる。安倍晋三首相(故人、当時)が19年、日本は個人への支払いを提案したが「韓国側が支払いは国内措置として行うと述べた」と国会で答弁したことがある。
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