【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)が22日公表した7月の理事会の議事要旨で、次回9月会合は「金融政策の引き締め度合いを再評価するのに良い時期だ」との認識が共有されていたことが分かった。追加利下げの可能性を示唆した。
前回7月の会合でECBは政策金利を据え置いた。チーフエコノミストのレーン専務理事の提案で、決定は全会一致だった。先立つ6月には政策金利を0.25%引き下げて4年9カ月ぶりに利下げを決めており、焦点は今後のペースに移っている。
議事要旨によると「インフレ鈍化が実際に軌道に乗っているかを確認するため、より多くのデータを忍耐強く待つ余裕がある」との慎重な意見が出た。
インフレが想定以上に長引く場合には「政策金利をより緩やかに引き下げる対応も可能になる」として、7月会合で追加利下げを急がない方針に支持が集まった。
先行きの利下げペースは「特定の道筋を事前に確約すべきでない」との指摘があった。賃上げに敏感なサービス価格の上振れに警戒論が出た一方、「実体経済の注視が重要」で9月会合には「オープンマインドで臨むべきだ」との主張がなされた。
市場は次回9月12日の会合で追加利下げをほぼ確実視している。8月22日に発表された4〜6月期のユーロ圏の賃金上昇率は2四半期ぶりに鈍化した。賃上げ圧力が峠を越えた可能性があり、目先は30日に公表される8月の消費者物価などが焦点になる。
ラガルド総裁は、当面の利下げは「データに基づき判断する」との方針を示してきた。議事要旨では「データ次第とは特定の単一のデータを過度に重視することと同じではない」との指摘もあった。中期的にインフレ鈍化が続くと判断すれば、追加利下げに踏み切る構えだ。
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