長崎市の平和祈念式典に米英などの大使が欠席したことについて、広島市の松井一実市長は21日の定例会見で、「(イスラエルを)招待をしないことをめぐって、反発する国が出る。そういう事象は残念なことだ」と述べた。来年の広島市の式典については「招待した、しないということをめぐって反発する国が出ない、参列要請の方法を検討する」とした。

 長崎市は8月9日に開いた平和祈念式典で、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルの招待を見送った。「式典において不測の事態が発生するリスクが懸念される」との理由だったが、米国などは「安全上の理由ではなく、政治的な決断だ」などと主張。米英など主要6カ国とEUの大使が、式典を欠席した。

 広島市が6日に開いた平和記念式典では、イスラエルを招待したことに、駐日パレスチナ常駐総代表部側が反発していた。両市とも、ロシアと同盟国ベラルーシについては、ウクライナ侵攻を理由に3年連続で招待を見送っている。

 松井市長はこの日の会見で、「原爆死亡者の慰霊と平和発信という式典本来の目的を理解してもらう」とした上で、「誤解を生じないようにすることで、今回の長崎のような事態も避けられる。工夫次第だと思う」と述べた。

 米英など主要6カ国とEU側は、長崎市に対して懸念を伝える書簡を式典前に送っていたが、松井市長は「イスラエルの招待に関して、政府や諸外国から当方に働きかけはなかった」と説明した。(魚住あかり)

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