【ニューヨーク=佐藤璃子】ニューヨーク連銀が12日発表した7月の消費者調査によると、3年先の予想物価上昇率(中央値)が2.3%と前月から0.6ポイント低下した。2013年6月の調査開始以来、最低水準となった。より短期的な見通しを示す1年先の物価予想と長期的な見通しを示す5年先の予想は前月比横ばいだった。
1年先の予想物価上昇率は3.0%だった。個別にみると、ガソリンと食品の1年先の価格予想が前月から下がった。一方で医療費や家賃、大学教育費などは上昇した。
インフレ予想の鈍化傾向にともない、労働市場を示すデータも前月から部分的に軟化した。1年先の予想所得上昇率は前月から0.3ポイント低下し、2.7%となった。現在の職を失った場合、どれくらいの確率で今後3カ月以内に新たに職を見つけることができるかという調査では平均が52.5%と前月比0.9ポイント低下した。
信用状況の悪化も見られた。1年前と比較してクレジットカードの利用やローンを組むのが「難しくなった」とする回答が52.0%と前月から1.4ポイント上昇した。今後3カ月間で最低返済額の支払いが滞る確率は平均13.3%と前回調査から1.0ポイント上昇し、20年4月以来の高水準となった。特に年収が5万ドル(約700万円)未満の消費者層で顕著に上昇した。
米ウェルズ・ファーゴの調査グループは「低所得者層ほどクレジットカードの債務残高が多い。金利の高止まりが続く一方で労働市場の過熱感が収束するなか、特に低所得者層で経済的負担が高まっている」との見方を示した。
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