米イーライ・リリーは8日、4〜6月期決算を発表した=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手のイーライ・リリーが8日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が68%増の29億6700万ドル(約4400億円)だった。糖尿病薬と肥満症薬の販売が好調だったほか、米国外での販売が拡大することから通期予想も上方修正した。

売上高は36%増の113億280万ドルだった。市場予想(約100億ドル)を大幅に超えた。糖尿病薬「マンジャロ」(一般名チルゼパチド)や肥満症治療薬「ゼプバウンド」が売上高の約4割を占め、増収の主因となった。

23年11月に米食品医薬品局(FDA)が承認したゼプバウンドの売上高は12億4320万ドル、マンジャロの売上高は前年同期の3倍強となる30億9080万ドルだった。マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されている。

マンジャロとゼプバウンドの人気は高く、これまでは需要が供給に追いつかなかった。

今後もこれらの薬の売上高は伸びそうだ。両方の薬に使われるチルゼパチドは心不全の重症化リスクを軽減する効果もあることが後期臨床試験(治験)で確認された。さらに、マンジャロはこのほど中国でも糖尿病と肥満症の治療薬として承認された。中国での販売開始の時期は明らかにしなかった。

乳がん治療薬「ベージニオ」や糖尿病薬「ジャディアンス」も好調だった。アルツハイマー病薬「ドナネマブAZBT(製品名キスンラ)」についてはFDAが7月に承認し、販売が始まった。日本でも承認を申請している。

同社は24年12月通期の業績予想を上方修正した。マンジャロとゼプバウンドが好調だったほか、米国外でマンジャロの販売を開始するためだ。売上高は454億〜466億ドルと従来予想の424億〜436億ドルから、1株当たり利益(EPS)も15.10〜15.60ドルと13.05〜13.55ドルから引き上げた。

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