FRBは四半期ごとに銀行の融資基準動向を調査する=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米連邦準備理事会(FRB)が5日発表した2024年4〜6月期の銀行の融資担当者調査(SLOOS)によると、回答した米銀の2割強が商業用不動産向け融資審査基準を一段と厳格化した。大企業・中堅企業向け融資も「厳格化」との回答の割合が「緩和」を上回った。景気減速のなか融資に慎重な米銀の姿勢が続いている。

FRBは四半期に1度のペースで銀行に企業や家計への融資基準や資金需要の変化を尋ね、調査結果を公表している。今回は6月20日〜7月8日に調査し、米銀65行と米国に拠点を置く外国銀行20行から回答を得た。

過去3カ月間に融資基準を「かなり厳しくした」「いくらか厳しくした」と回答した銀行の割合から「かなり緩めた」「いくらか緩めた」の割合を引いた指数では、建設・土地開発向けで23.8となった。基準を緩めたとする回答は皆無だった。

指数は5四半期連続で低下したものの、商業用不動産に対する融資を絞り込んでいる様子がうかがえる。古いオフィスビルなどは在宅勤務の定着のあおりで資金繰りが悪化。低金利環境で調達したローンの借り換えが難しくなっている。

大企業・中堅企業向けの指数は7.9と2四半期ぶりに低下した。回答行の1割強に相当する8行が基準を一段と厳格化した一方、全体の5%弱にあたる3行は「いくらか緩めた」と回答した。FRBが利上げを始めた直後の22年4〜6月期から始まった融資基準の厳格化の流れは途切れていない。

米調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると1〜6月期の米倒産件数は346社となり、上半期としては10年以来の多さとなった。経営体力の乏しい企業は、景気減速や金融引き締めのなかで資金繰りが徐々に苦しくなっている。

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