【NQNニューヨーク=戸部実華】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に3日続落して始まり、午前9時35分現在は前週末比1190ドル66セント安の3万8546ドル60セントで推移している。米景気懸念を背景に5日のアジアや欧州の主要な株価指数が軒並み大幅に下げた。投資家が運用リスクを避ける動きを強め、米株にも売りが広がっている。下げ幅は一時1200ドルを超えた。
前週末に発表された7月の米雇用統計で雇用者数が市場予想ほど伸びず、失業率も上昇した。米経済が想定以上に減速するとの懸念が広がった。中東情勢を巡る地政学リスクも投資家心理を冷やしている。ドル安・円高の進行が日本株売りにつながり、5日の日経平均株価の下げ幅は過去最大を記録。欧州株にも売りが波及している。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は不安心理が高まった状態を示すとされる20を大幅に超え、朝方には前週末比2.8倍ほど高い65台後半を付けた。新型コロナウイルス禍の2020年3月以来の高水準となった。
人工知能(AI)による業績期待が高く、年前半の株高をけん引してきた銘柄は割高感が意識されていた面もあり、持ち高調整や利益確定売りがかさんでいる。ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアは15%ほど下げる場面がある。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが24年4〜6月期に保有株式数を半減させたことが3日に明らかになったアップルは一時11%近く下げた。マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなども大幅に下げている。
米長期金利は一時、前週末比0.13%低い(債券価格は高い)3.66%と23年6月上旬以来ほぼ1年2カ月ぶりの水準に低下した。米景気の先行き不安に加え、市場心理の悪化を受けて株式から資金が流出する一方、相対的に安全資産とされる米国債が買われやすくなっている。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も大幅に3日続落して始まった。主力株が軒並み下落し、下落率は6%を超える場面がある。
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