日中戦争で旧日本軍による性暴力の被害を受けたとする中国人元慰安婦の遺族が、日本政府に謝罪と損害賠償を求めて中国の裁判所に提訴した。中国のニュースサイト「中国新聞網」が22日までに伝えた。

 報道によると、慰安婦問題をめぐり中国の裁判所で日本政府を訴えるのは初めて。元慰安婦18人はいずれも死去している。元慰安婦の子どもが4月、山西省の高級人民法院(高裁)に訴状を提出。旧日本軍による暴行で身体的、精神的被害を受けたとして、1人あたり200万元(約4270万円)の損害賠償を求めている。

 日本では1990年以降、中国人元慰安婦が日本政府に謝罪と損害賠償を求める訴えを起こした。最高裁は72年の日中共同声明で、個人の戦争賠償の請求権も放棄されたとの判断を示しており、敗訴が確定した経緯がある。今後、中国の裁判所が訴えを受理するかどうかが焦点で、日中関係の新たな火種となる恐れもある。(北京=井上亮)

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