FRBは31日までの2日間、金融政策を決める会合を開きました。

その結果、政策金利を現在の5.25%から5.5%の幅に据え置くことを決定しました。FRBが金利を据え置くのは8会合連続です。

一方、声明では、雇用の伸びについて前回の「強い」から「緩やかになっている」と表現を変えたほか、インフレについては「依然として高い」から「いくぶん高い」に表現を弱めました。

インフレと物価上昇の要因となってきた労働市場のひっ迫が改善してきたという認識を示した形です。

アメリカではことし6月の消費者物価指数が前の年の同じ月と比べて3.0%の上昇と、上昇率が3か月連続で前の月を下回るなどインフレ率の低下傾向が続いています。

市場ではFRBが次回・9月の会合で利下げに踏み切るという見方が強まっています。

FRBの金利政策のこれまでは

FRBが利上げを開始したのはおととし(2022)3月。

それまでのゼロ金利政策を解除して金融引き締めへと転換します。金融引き締めによって景気を冷やすことでインフレを抑えこむねらいでした。

しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、おととし6月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べ9.1%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。

このためFRBは、おととし6月から11月の会合まで4会合連続で0.75%という異例の大幅利上げに踏み切りました。

こうした中、急速な利上げの影響を受けて去年3月から5月にかけては3つの銀行が経営破綻しました。

それでもFRBはインフレ抑制を優先にする姿勢を示し、去年3月と5月にそれぞれ0.25%の利上げを決定しました。

続く6月の会合では、それまでの金融政策の影響を評価するためなどとしておととし3月以降、初めて利上げを見送りましたが、去年7月の会合では、インフレの要因である人手不足が続いていることなどから0.25%の利上げを決定。

これで政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来の高い水準となりました。FRBの利上げはこれでおととし3月以降、あわせて11回に及びました。

去年9月以降の会合では、物価の上昇が落ち着き、インフレの要因となっていた人手不足に改善の兆しが見られたことなどから、6会合連続で利上げを見送りFRBがいつ利下げに踏み切るかが焦点となっていました。

ただ、ことし1月から3月にかけて、インフレの根強さや経済の堅調さを裏付ける経済指標が相次ぎ、市場ではFRBの利下げが当初、市場が見込んでいた時期より大幅に遅れるという見方が広がりました。

その後は、消費者物価指数の上昇率が4月から3か月連続で前の月を下回るなどインフレ率の低下傾向が続いています。

また、FRBの最新の経済報告でもほぼすべての地区で、小売店の値下げや価格に敏感な消費者が購入を必需品に絞るといった傾向が見られると指摘されるなど、アメリカの景気を支えてきた個人消費にも減速の兆しが見られています。

こうしたことから市場では、FRBが次回9月の会合で利下げに踏み切るという見方が強まっていました。

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