22日、ロシアのプーチン大統領㊨はアゼルバイジャンのアリエフ大統領とモスクワで首脳会談を開いた=ロイター

ロシアのプーチン大統領は22日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領とモスクワで首脳会談を開催した。プーチン氏は地域安全保障についてアリエフ氏と議論し同国を支援する姿勢を強調した。旧ソ連地域でのロシアの影響力低下が指摘される中、アゼルバイジャンの取り込みを進める狙いとみられる。

ロシア大統領府によると、プーチン氏は公開された冒頭発言で「地域の安全保障状況について議論する」と述べた。アゼルバイジャンが2023年に支配下に置いたアルメニアとの係争地ナゴルノカラバフを含むコーカサスの情勢について議論したものとみられる。アリエフ氏も「ロシアはコーカサスなどの地域安全保障を支えている」と応じた。

タス通信によると両者の直接会談は23年10月以来となる。プーチン氏は「(2国間の)貿易額は増加している」と述べ、経済協力の進展や投資拡大を強調した。

今回の首脳会談はロシアがナゴルノカラバフに派遣していた平和維持部隊が撤退を始めたことを受けて、両国関係を一段と強める狙いがあるとみられる。ロシアのペスコフ大統領報道官は17日、同部隊が撤退を開始したと述べた。ナゴルノカラバフには約2千人のロシアの平和維持部隊が駐留していた。

アゼルバイジャンではソ連時代の末期から、アルメニアとの歴史的な係争地だったナゴルノカラバフ地域の支配を巡る民族紛争が激化した。20年秋と23年9月の戦闘再燃でアゼルバイジャンは同地域を取り戻した。アルメニア系の現地政府は解散した。

一方、アルメニアのパシニャン首相は紛争への支援が不十分だったとロシアなどを批判し、距離を置く動きを強めている。24年3月にはロシアが主導する旧ソ連諸国の軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)がアルメニアの領土防衛を支援しない場合はCSTOから脱退するとの考えを示した。

アルメニアが反発を強める中、アゼルバイジャンとアルメニアの平和条約締結交渉は停滞している。

欧州連合(EU)と米国は4月5日にブリュッセルでアルメニアの支援会合を開催し、パシニャン氏らが出席した。27年までの4年間で計2億7000万ユーロ(約440億円)の資金支援をすると発表し、欧米は支援を通じてアルメニアを取り込もうとしている。

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