【ウォルフスブルク(独北部)=林英樹】ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)は人気の小型スポーツカーブランド「GTI」のファンイベントを28日まで3日間催した。40年以上にわたってオーストリアのベルター湖畔で開催してきたが、「オーバーツーリズム」問題を踏まえ、今回から本社のある独北部ウォルフスブルクに場所を移した。
「アイコン(象徴)が家に帰ってくる。今日ここから素晴らしい再スタートを切るのが楽しみだ」。VW乗用車ブランドのトーマス・シェーファー最高経営責任者(CEO)がファンイベントのステージで声を上げると、大きな拍手が起きた。
小型ハッチバックの「ゴルフGTI」を1975年に発表、76年に発売したのがGTIモデルの始まりだ。機械式インジェクションを組み込んだ110馬力の4気筒エンジンを搭載。当時、大半の市販車が最大時速160キロメートルだった中、同182キロを実現した。
GTIは「手の届くスポーツカー」として世界中で愛され、これまでに累計230万台以上を販売した。ゴルフのほか、ポロやルポにもGTIモデルを広げた。さらに電気自動車(EV)の旗艦モデル「ID.」シリーズにも今後、GTIを展開していく考えだ。
ファンイベントはGTIオーナー主導で82年に始まった。「静けさとGTIのパワフルさのコントラストが素晴らしい」という理由からベルター湖畔で開いていたが、年々参加者が増加。オーバーツーリズムで自治体側の受け入れが難しくなり、23年に中止が決まった。
その後、VWが自社主催でイベントを継続すると明らかにした。シェーファー氏は「世界中のファンと交流できる貴重な場。取締役会で10分以内にウォルフスブルクで開催することが決まった」と振り返る。
会場では700台以上の独自カスタマイズのGTIが集合した。技術者やデザイナー、レーサーらの講演のほか、ゲーム企画やイベントも開催。Tシャツや靴など限定グッズ販売には長蛇の列ができた。
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