ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻で25日までに選手やコーチなど487人のスポーツ関係者が死亡し、パリ大会に出場する選手は、夏のオリンピックでは過去最も少ない140人となっています。

ウクライナの選手団は、パリ大会の開会式を夜に控えた26日午後、パリ市内のメインプレスセンターで会見しました。

ウクライナオリンピック委員会のフトツァイト会長は「日々、ミサイルが飛び交い、住宅などが攻撃を受け、子どもたちの命が失われている。ウクライナの代表選手は戦争を経験し、友達、親戚、両親など大切な人を亡くした選手ばかりで、国の独立のためにスポーツで戦ってくれていることに感謝している。パリ大会では勝利への意思を世界に示す」と話しました。

一方で、「AIN」と呼ばれる「中立な立場の個人資格の選手」として参加するロシアとその同盟国ベラルーシ国籍の選手との接触については、「ロシア勢に対してはあいさつもせず、存在しないものとして考えている。われわれに“平和の祭典”は存在しない」と話し、オリンピックの場であっても政治とスポーツを分けた対応はできないとする考えを強調しました。

また、2008年の北京オリンピックのフェンシング女子サーブル団体で金メダルを獲得したオリハ・ハルラン選手は、5回目のオリンピックとなるパリ大会について「今まで出場した中で最も大変な大会になる。メダルを獲得したら、私たちの家族を守ってくれている軍の人たちにささげたい。ウクライナの強さと自由を代表し、メダルを獲得できるように全力を尽くす」と大会に向けた決意を示しました。

また、軍事侵攻で甚大な被害を受けた、ウクライナ南部出身で男子飛び込みの18歳、オレクシー・セレダ選手は「2回目のオリンピックで前回よりも良い状態で臨めると思っていたが、今、父親が軍に所属し、電話もつながらず、大きなストレスがある。どうしようもない状況の中で、自分自身はオリンピックでやるべきをことをやらないといけないと思う」と話していました。

ウクライナ選手団は陸上やボクシング、新体操、レスリングなど26の競技に参加する予定です。

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