韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は22日、政権運営を支える補佐役の大統領府の秘書室長(閣僚級)に、保守系与党「国民の力」の国会議員や韓日議員連盟会長を務めた鄭鎮碩(チョンジンソク)氏を充てる人事を発表した。鄭氏は当選5回で「知日派」としても知られるが、与党が大敗した10日の総選挙で落選していた。

 鄭氏は尹氏に近く、党や国会の要職のほか、尹氏が大統領就任を控えた22年4月に日本に派遣した「政策協議代表団」の団長も務めた。

 尹氏は22日、記者団を前に人事を自ら発表。「野党や報道機関、市民社会などと円満に意思疎通し、職務を遂行してくれると期待する」と述べた。鄭氏は「統合の政治を導いていくうえでよく補佐できるように努力していく」と話した。

 尹氏は5月で就任から2年となるが、10日に投開票された韓国の総選挙では与党が大敗し、引き続き少数与党での政権運営を強いられることになった。総選挙で政治スタイルが「独善的、一方的」などと批判された尹氏は「民意を謙虚に受け止める」とし、「国政刷新」をはかる姿勢を打ち出していた。ただ、落選した与党重鎮議員の秘書室長への起用が「刷新」につながるかは未知数だ。

 与党大敗を受け、政権では韓悳洙(ハンドクス)首相や大統領府高官らが相次いで辞意を表明する事態となっていた。(ソウル=稲田清英)

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