インド洋の島国モルディブで21日に議会選挙(一院制、93議席)があった。地元メディアによると、中国寄りの政策を掲げてきたムイズ大統領が率いる人民国民会議(PNC)が約3分の2の議席を獲得し、勝利を収めた。中国と国境対立を抱えるインドは、中国の影響力の拡大に懸念を深めている。

 選挙前に少数与党だったPNCは60議席超を獲得する見込みで、安定した政権運営が可能になる。一方、これまで議会で多数派を占め、インド寄りの政策を実施してきたモルディブ民主党は議席を大幅に減らした。

 昨年9月の大統領選挙で当選したムイズ氏は1月、慣例を破ってインドより先に中国を公式訪問し、習近平(シーチンピン)国家主席と会談。モルディブ国防省も3月、中国からの軍事援助に関する取り決めに調印したと発表したほか、長年にわたって駐留を認めてきたインド軍兵士を撤収させている。

 インドのジャイシャンカル外相は3月、朝日新聞の取材に、「モルディブとは強固な開発パートナーシップを結んでおり、人的つながりも強い」と答えていたが、戦略の練り直しを迫られることになりそうだ。

 反インド的な政策を続けるムイズ氏に反発し、モルディブへの旅行を控えるよう呼びかける動きもあり、インドからの観光客数は減少している。(ニューデリー=石原孝)

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