【ブリュッセル=共同】オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は19日、イスラエルによる東エルサレムとヨルダン川西岸の占領政策は国際法違反だとして、速やかに終えるよう求める勧告的意見を出した。イスラエルによる入植活動などを挙げ「事実上の併合だ」と指摘し、入植活動を停止して入植者を退去させるよう勧告した。
イスラエルのネタニヤフ首相は「自分たちの土地であり入植の合法性に議論の余地はない」と拒否する声明を出した。
ICJは、占領政策が「パレスチナ人の自決権を侵害している」との認識も示した。ICJの勧告的意見に拘束力はないが、パレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を続けるイスラエルへの国際社会の圧力が一段と高まる可能性がある。
国連総会は2022年12月、ICJに意見を求める決議案を採択した。国際法を考慮した上で、国連や加盟国にとってイスラエルの占領政策によるパレスチナ人の権利侵害がどのような法的問題をはらんでいるのか見解を示すよう要請した。
ICJは04年にイスラエルが西岸で建設していた「分離フェンス」は国際法に違反していると判断。パレスチナ側への損害賠償などを求める勧告的意見を出したが、イスラエルは従っていない。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争で東エルサレムや西岸を占領した。その後、エルサレム全域を首都と主張し、西岸では入植活動を拡大、占領の既成事実化を進めている。国際社会の大半は占領を批判し、エルサレムをイスラエルの首都とは認めていない。
ICJは、昨年10月に始まったガザ戦闘を巡り、イスラエルに対し、今年1月に民族大量虐殺を防ぐ「あらゆる措置」を取るよう命じる仮処分、5月にはガザ最南部ラファへの攻撃停止を命じる仮処分を出している。
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