【ニューヨーク=吉田圭織】米通信大手AT&Tは12日、「ほぼ全ての顧客」の通話とメッセージ情報が違法に奪われたと発表した。データを保管していた第三者のクラウドプラットフォームがサイバー攻撃にあったという。同社によれば、約1億1000万人の顧客が影響を受けた。3月にも情報が流出しており、大規模流出は今年2度目だ。
AT&Tは12日にリリースを出し、米証券取引委員会(SEC)にも攻撃についての届け出を出した。資料によれば、4月にサイバー攻撃が発覚し、奪われたデータのなかには2022年5月1日〜10月31日と23年1月2日の通話やメッセージの記録データが含まれている。生年月日などの顧客情報などは奪われなかったという。
米メディアのテッククランチによると、ビッグデータの保管・分析を手掛ける米スノーフレイクのクラウドのアカウントから情報が奪われた。
独調査会社スタティスタによると、AT&Tは米情報通信市場のシェアをベライゾンとTモバイルとともに分け合っている。
AT&Tは3月下旬にもハッカー被害にあっており、7300万人分の顧客情報がダークウェブ(闇サイト群)上に流出したと発表していた。流出した個人情報には社会保障番号(SSN)などが含まれていた。2月には全米で携帯電話の通話が滞る大規模な通信障害も起こしている。度重なる問題発生で信頼が低下しかねない。
AT&Tは今回の件をめぐって調査に乗り出しており、事件に関与した人物を捕まえるために法執行機関と協力していると述べた。「少なくとも1人が逮捕された」とも明らかにした。米連邦通信委員会(FCC)は12日、X(旧ツイッター)で「情報漏洩について現在も法執行機関と調査を続けている」と投稿した。
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