【ニューヨーク=竹内弘文】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比247ドル15セント(0.6%)高の4万0000ドル90セントで引け、約2カ月ぶりに4万ドル台を回復した。物価指標の落ち着きを背景に市場参加者は米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを始めるとの観測を有力視する。リスク許容度の高まりが株買いを促した。

ダウ平均は週間で600ドル以上上昇した。上昇幅としては5月以来の大きさとなった。前日は利益確定売りに押されたエヌビディアなど巨大テック株にも12日には再び買いが入り、多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数も2日ぶりに最高値を更新した。

ダウ平均は5月17日に初めて終値で4万ドルを上回ったが、高値を維持できずに翌日から4万ドル割れが続いていた。再び動意付いたきっかけはインフレ圧力の和らぎだ。

11日発表となった6月消費者物価指数(CPI)は前月比で下落に転じ、上昇を予想していた市場を驚かせた。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は同日「(金融)政策調整がなされる可能性が高まっている」と述べた。12日発表の6月卸売物価指数(PPI)は市場予想をやや上回ったものの、利下げ開始に向けた環境が整いつつあるとの見方が強まる。

米ゴールドマン・サックスは、FRBが政策運営で重視する米個人消費支出(PCE)のコア物価指数について、6月分が前月比0.19%上昇すると予想する。12カ月の変化率は物価目標の2%に一歩近づく公算だ。米金利先物市場の織り込みから金融政策の先行きを予想するフェドウオッチでは、9月利下げの確率が約9割に及ぶ。

もっとも、水準の切り上がりに応じて高値警戒感も強まってきた。ダウ平均は12日の取引時間中に4万0250ドル近辺まで上げる場面があったが、取引終了時間の米東部時間午後4時の間際に上げ幅は急速に縮小。終値でかろうじて4万ドルを維持した。

12日に2024年4〜6月期決算を発表した米銀大手のJPモルガン・チェースやシティグループ、ウェルズ・ファーゴはそろって株価が下落した。米ファクトセット集計によるとS&P500採用銘柄の4〜6月期の1株利益は前年同期比9.3%増と約2年ぶりの成長率をアナリストは見込む。ハードルが切り上がっているだけに未達の場合はネガティブな株価反応が大きくなる可能性がある。

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