ロシア極東サハリン州政府の発表によりますと、ロシア政府で極東の大統領全権代表を務めるトルトネフ副首相と、チェクンコフ極東・北極圏発展相が、12日、北方領土の択捉島を訪問しました。

トルトネフ副首相らは、択捉島でホテルや観光施設などの投資プロジェクトの現場を視察し、観光分野などでの投資拡大の重要性を訴えたとしています。

トルトネフ副首相は去年7月にも択捉島を訪問していますが、ことし5月にプーチン大統領が通算5期目に入ってから、政権の幹部が北方領土を訪れるのは初めてとみられます。

北方領土をめぐって、プーチン大統領はことし6月、日本との間で中断されている平和条約交渉について、「対話を継続するための条件が整っていない」などと述べて、強硬な姿勢を改めて示しているほか、ことし1月には北方領土について「将来、必ず行くつもりだ」と述べ、初めて訪問する可能性も示唆しています。

外務省 ロシア側に抗議

外務省の小野ロシア課長は、東京にあるロシア大使館の担当者に対し、電話で「不法占拠されている択捉島へのロシア側要人の訪問は、領土問題に関する日本の立場に反するもので、受け入れられない」と抗議しました。

千島歯舞諸島居住者連盟 理事長「非常に遺憾で許しがたい」

ロシアのトルトネフ副首相が北方領土の択捉島を訪問したことについて、択捉島出身で千島歯舞諸島居住者連盟の松本侑三理事長は、「平和条約交渉が中断されている中で、ロシアがこうした行動をとることは、私たち元島民の立場からすれば、非常に遺憾で許しがたい。今後同じようなことが続かないようにしてほしい」と話しています。

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