7日に実施されたフランス国民議会選挙の決選投票で、極右の流れをくむ右翼政党「国民連合(RN)」は議会の第3勢力にとどまった一方、得票数では共闘勢力と合わせて最多となる1千万票超を獲得した。躍進の立役者になったジョルダン・バルデラ党首(28)について、RNを長く取材するフランスのピエールステファヌ・フォール記者は「中身よりも表面的なコミュニケーションが優先される今の時代を象徴する存在だ」と話す。
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フォール氏は仏公共放送の調査報道ドキュメンタリーのために約15カ月にわたってバルデラ氏とRNを取材。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を駆使し、政治活動だけでなく「素顔」の自分を見せて有権者に親密さを抱かせるバルデラ氏を「フランスの政治分野で初めてのインフルエンサー」だと評した。
5月に刊行した著書「偉大な代役」(未邦訳)の中で、フォール氏はバルデラ氏と今も党の実権を握るマリーヌ・ルペン前党首(55)の関係についても明らかにした。
RNは、庶民に寄り添う姿勢を強調し、政権を担うことができる「普通の政党」の姿をアピールしてきた。移民や低所得層が多く暮らすパリ郊外のサンドニという町出身のバルデラ氏であれば、「庶民」の有権者に訴えかける物語をつくれるとの思惑がルペン氏にあったと、フォール氏はみている。(パリ=宋光祐)
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