秋のアメリカ大統領選挙に向けてバイデン大統領は先月開かれたテレビ討論会で、ことばに詰まる場面が目立つなど安定さを欠き、与党・民主党の一部からも撤退を求める声が上がっています。

こうした中、バイデン大統領は5日、トランプ前大統領と激戦となることが見込まれる中西部ウィスコンシン州を訪れ、選挙集会を開きました。

この中でバイデン大統領は「私は選挙戦を続け、再び勝つ。私が民主党の候補者であるのは何百万もの党員が、全米の予備選挙で私に投票してくれたからだ。それにもかかわらず、一部の人々は私を候補者から外そうとしている。はっきり言わせてもらう。私は選挙戦にとどまる」と述べて、集まった支持者に選挙戦を継続する考えを強調しました。

一方、有力紙、ワシントン・ポストは5日、民主党のウォーナー上院議員がバイデン大統領に撤退を求めるための上院議員のグループを作ろうとしていると、複数の関係者の話として報じました。

アメリカメディアは「バイデン大統領が撤退を求める声を押し返す上で重要な日を迎えている」と伝えていて、集会などを通じて、討論会で広がった年齢に対する不安を払拭できるかが焦点です。

バイデン大統領“午後8時以降の行事減らす” 米有力紙

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは4日、バイデン大統領が3日に民主党の州知事たちと会談した際、午後8時以降の行事を減らすなどして、睡眠時間を確保していく必要があるという発言をしていたと複数の出席者の話として伝えました。

この中でバイデン大統領は、自身のスケジュールについてスタッフの意見を聞かず、無理をしすぎていたという認識を示したということです。

この報道についてホワイトハウスのジャンピエール報道官は5日、記者団に対し「バイデン大統領は24時間、365日働いているが、バランスをとり、自分自身を大切にすることの重要性も認識していて、そうした考えを州知事たちと共有した」と述べました。

一方、NBCテレビは民主党議員から「夜中に危機が起こったらどうするのか。こうした発言は何の役にも立たない」などと懸念の声も出ていると伝えていて波紋が広がっています。

世論調査 バイデン大統領とトランプ前大統領の差が広がる

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによりますと、討論会が行われた先月27日時点の各種世論調査の平均では、バイデン大統領を支持するとした人は45.1%、トランプ前大統領を支持するとした人は46.6%と、わずか1.5ポイント差でした。

しかし、討論会からおよそ1週間たった今月5日時点では、バイデン大統領を支持するとした人は44.2%、トランプ氏を支持するとした人は47.5%と、3.3ポイント差に広がっています。

ニューヨーク・タイムズが3日発表した世論調査では「バイデン大統領は大統領職を務めるには高齢すぎる」と答えたのは、74%と、討論会前に比べて5ポイント上昇したということです。

バイデン大統領の年齢や明敏さへの疑念が高まっていると分析していて「調査結果は、バイデン大統領の討論会での失態が、トランプ氏に勝利する可能性をさらに危うくするという、民主党が恐れていたことを示すものになった」としています。

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