フランスの国民議会(下院)選挙の初回投票に票を投じる有権者(6月30日、パリ)

【パリ=大西康平】1日の欧州金融市場はリスク回避ムードがいったん和らいだ。代表的な株価指数の仏CAC40が一時3%高となるなど欧州各国とも株式相場が上昇しているほか、ユーロが対円で1999年に単一通貨ユーロが成立して以降で初となる1ユーロ=173円台とユーロ高・円安が進んだ。6月30日の下院選の初回投票で、極右の国民連合(RN)が単独過半数に届かない見通しが強まり、財政拡大の懸念が後退した。

仏下院選の結果に欧州各国の株式市場は買いで反応した。28日まで4日続落していた仏CAC40は反発して始まり、英国やイタリアも反発した。ユーロも対ドルで一時1ユーロ=1.077ドル台と約2週間ぶりの高値圏まで上昇した。

財政悪化懸念を嫌気した金利上昇圧力もいったん落ち着いた。仏10年物国債利回りは一時約3.21%と、7カ月ぶりの高水準だった前週末から約0.04%下落(債券価格は上昇)した。信用リスクを示すドイツ国債に対する上乗せ金利(スプレッド)も約0.68%と、約3週間ぶりの低水準まで縮小した。前週末には2017年以来7年ぶりの高水準まで上昇していた。

もっとも仏下院の選挙は2回投票制だ。多くの選挙区では初回投票で当選者が確定せず、結果は7月7日の2回目の投票(決選投票)に持ち越される。

英キャピタル・エコノミクスのジャック・アレンレイノルズ副チーフユーロ圏エコノミストは「投票率が高いため最終的な結果を予測するのは困難で、経済と財政の見通しに関する不確実性は高いままとなりそうだ」と指摘する。

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