ミャンマーで全権を握る国軍の統制下にある国営テレビは6月30日、日本の小売り大手イオン系列の現地法人「イオンオレンジ」に勤める日本人男性が当局に拘束されたと報じた。コメの価格統制に従わなかったことなどが理由という。
報道によると、拘束されたのはカサマツ・ヒロシ氏。「コメ価格の値上げにより国民が高値で購入しなければならなくなり、市場の安定を乱した」として、法的措置が取られたと報じている。国営テレビは、同氏を含む小売企業の関係者計11人がこうした疑いで拘束されたと伝えた。
ミャンマーでは3年前の国軍によるクーデター以降、政情不安を背景に現地通貨チャットが暴落するなど、インフレが深刻化している。国民の主食である米や食用油といった多くの食料品価格も高騰する中、国軍は物価高を「取引業者の責任だ」と主張。対策として関係者の身柄を拘束、尋問するという手段に乗り出し、強制的に業者らに価格を下げさせているが、市場はかえって混乱している。
独立系メディアのミャンマー・ナウによると、6月21日にも「ミャンマー・コメ連盟」の会長や関連業者が相次ぎ拘束された。国軍が定めた価格設定を守らなかったためだという。昨年は、食用油の価格高騰を巡り業者らが拘束されたほか、経済対策を担う国軍幹部も粛清された。(ヤンゴン=笠原真)
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