フランス総選挙(下院、定数577)の第1回投票は30日夜に開票が始まり、右翼「国民連合(RN)」が推計得票率で3割を超え、トップに立った。マクロン大統領率いる与党連合は3番手に沈み、苦戦が鮮明になっている。

 世論調査会社IPSOSによる30日午後9時現在の推計によると、RNの得票率は33・5%、左翼「不服従のフランス」を中心とする左派の政党連合「新人民選(NFP)」が28・1%で2番手につけている。与党連合は20・7%の3番手で差をつけられている。

 フランスの総選挙は小選挙区制で、第1回投票でどの候補も得票率が過半数に届かなかった場合、有権者数の12・5%以上の票を得た候補が決選投票に進む。2022年の前回選挙では、98%の選挙区で上位2人による決選投票が実施された。

 しかし、今回は5割を超える約300選挙区で3人の候補者が決選投票に残ると推計されており、過去に例のない混戦になっている。得票率ではRNが第1党をうかがう勢いだが、与党連合とNFPが決選投票で協力して「極右包囲網」を作れば、RNの躍進を阻む可能性もある。

 ただ、マクロン氏は選挙戦を通してNFPを「極左」と呼んで攻撃しており、両グループが決選投票でどこまで協力できるかは不透明だ。

 マクロン氏は同日夜、開票作業が始まった後に「民主主義と共和国の価値のもとに結集する時だ」と表明。決選投票でRNの勝利を食い止めるために、RN以外を支持する有権者に与党連合への支持を訴えた。(パリ=宋光祐)

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