トランプ前大統領の再選がインフレ加速につながるとの見方が増えている=AP

【ニューヨーク=佐藤璃子】ノーベル経済学賞を受賞した16人の著名学者が共同で、トランプ前大統領が2024年の大統領選で再選した場合、インフレの再燃リスクを警告する書簡をまとめた。「トランプ氏が無責任な予算を組むことでインフレが再加速する懸念がある」と訴えた。

書簡はジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授が主導した。「トランプ氏が2期目を務めることになれば世界における米国の経済的地位が低下し、国内経済が不安定化するだろう」と指摘した。

トランプ氏は減税の恒久化と法人税率の引き下げを掲げるほか、中国からの輸入品に60%超の関税を課すなどとしている。関税は輸入物価の上昇を通じてインフレを加速させ、最終的に米経済の7割を占める個人消費に悪影響を及ぼす可能性がある。

不法移民の取り締まり強化が労働市場の再過熱を招き、物価上昇につながるとの見方もある。

書簡では「経済政策の具体的な内容についてはそれぞれ異なる見解を持っているが、バイデン米大統領の経済政策がトランプ氏よりも圧倒的に優れていることは我々全員が同意している」という。

調査会社オックスフォード・エコノミクスや米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)など超党派の研究者らが、トランプ氏の再選によるインフレ加速を予測しているとも強調した。

トランプ氏は22日の演説で「私は『バイデン・インフレ』の悪夢を終わらせる」と訴えた。バイデン氏とのテレビ討論会が27日に迫る中、双方の米経済をめぐる主張が注目される。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。