マイケル・マクフォール氏はアメリカを代表するロシア研究者として知られオバマ政権下の2012年から2年間、ロシア大使を務め、現在はスタンフォード大学の教授を務めています。

今回、日本の政府関係者や専門家などと意見交換を行うために来日し、25日、NHKのインタビューに応じました。

このなかでマクフォール氏はウクライナ情勢について「戦争はこう着状態にある。どのようにして近いうちに終わるのかを知ることは簡単ではない」と述べ、現状ではロシアによる軍事侵攻が終結する見通しが立たないという見方を示しました。

そして、「私はバイデン政権が必要な時にいつでも彼らと意見交換をしている」と述べて、日常的にやりとりをしているとした上で、和平交渉を可能にするためにはまずロシア軍を止めることが不可欠だとして、▼より良い武器を多くかつ早くウクライナに供与し、▼より多くの有効な制裁をロシアに科すよう、繰り返し助言してきたと明らかにしました。

一方、この先、数か月は和平交渉に関する動きはないという見方を示し、その理由のひとつとしてプーチン大統領がことし11月のアメリカ大統領選挙の結果を待っていることを挙げました。

マクフォール氏は「プーチン氏はアメリカの次の大統領が誰になるか見ているのだろう。プーチン氏には今は和平交渉を行う動機がない。トランプ氏が大統領となった場合、より有利な取り引きができると考えている」と指摘しています。

ロシアの協力が北朝鮮の核・ミサイル開発を加速させることを懸念

さらにマクフォール氏は今月(6月)のプーチン大統領の北朝鮮訪問について、「われわれは、かつては中国やロシアとも北朝鮮の核開発を遅らせるという点では一致していた。しかし、今回の訪問でプーチン氏がそれを変えてしまったのではないかという懸念がアメリカだけでなく中国にもある」と述べ、ロシアの協力が北朝鮮の核・ミサイル開発を加速させることへの懸念を示しました。

来年春 大規模な反転攻勢の準備が整うと分析

また、マクフォール氏は今後の戦況について、ウクライナは各国から供与される戦闘機や兵器が揃う来年春に、大規模な反転攻勢を仕掛ける準備が整うと分析しています。

これについて「前回の反転攻勢は具体的に明らかにしすぎて周囲の期待が高くなり過ぎた」として、次の反転攻勢では具体的な時期や場所についてウクライナ側は事前に明らかにしないという見方を示しました。

ウクライナの復興で日本が役割を果たすことに期待

また日本については「他国の戦争からの復興を支援するなど日本には多くの歴史的経験がある」と指摘し、ウクライナの復興で役割を果たすことに期待を示しました。

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