7日、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした状態の宇宙船「スターライナー」(中央下)=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】航空宇宙大手の米ボーイングと米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた新型宇宙船「スターライナー」の地球への帰還が遅れている。NASAが26日予定だった帰還を延期すると発表した。延期は4回目で7月以降にずれ込みそうだ。宇宙船の推進装置などに不具合が発生しており、状況を確認するとしている。

円すい型カプセルのスターライナーは宇宙飛行士2人が搭乗し、ロケットで6月5日に打ち上げ、6日に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングに成功していた。

28ある推進装置のうち5つに不具合が発生した。うち4つはソフトウエアの修正などで修理したとしている。

一方、宇宙船から微量ながらヘリウムが漏れているという。打ち上げ前に1カ所からの漏洩が確認されていたが、安全性に問題ないと判断して打ち上げに踏み切った。ISS到着後に追加で4カ所の漏洩が確認された。ヘリウムは推進装置に燃料供給するための圧力を制御するのに使用する。

少なくとも7月2日までISSに滞在すると報じられている。NASAは「時間をかけ、手順に沿ってプロセスを進めている」(担当者)としており、帰還の具体的な日程を明らかにしていない。宇宙船の着地予定地は南部ニューメキシコ州の砂漠で、NASAによると、地球を周回するISSの位置が最適となる帰還のタイミングは4日ごとに訪れる。

宇宙船と宇宙飛行士2人は当初、ISSに8日間滞在する計画だったが、帰還延期で滞在期間は約1カ月となりそうだ。宇宙船はISSに最長45日間滞在できるという。

スターライナーはボーイングがNASAの委託を受けて開発した宇宙船だ。実用化に向け、初めて有人で打ち上げた。NASAは11年にスペースシャトルを退役させ、ボーイングとスペースXにそれぞれ宇宙船の開発を委託していた。

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