修復作業が始まったのはおととし11月、バンクシーが首都キーウとその近郊の町で制作したと明らかにした、7つの作品のうちの1つです。

バスタブで体を洗う男性の姿が、ロシア軍の攻撃で破壊された集合住宅の壁に黒や白のスプレーで描かれていました。

制作から1年半以上がたち、傷みが進んだことから今月12日、保存に向けて描かれた壁紙ごと剥がされ、キーウ市内にある美術品の修復を専門とする国の機関に移されました。

専門機関では早速修復作業が始まり、14日、取材で訪れると、作業室に集まった職員たちが洗浄液を含ませた綿を使って表面に付着したちりを慎重に落としたり、作品を裏返して、かびを丁寧に拭い取ったりしていました。

今後、作品の詳しい調査・分析のほか、穴の補修作業などが予定され、完了まで1年以上かかる見通しだということです。

修復後は、地元自治体に返還する予定だということで、ウクライナ国立研究・修復センターのストレリニコワ所長は「傷みが激しく、修復は非常に難しいが、バンクシー作品は戦争を反映したもので、保存が必要です。美術品の修復に使う物資が全体的に不足していて、外国からの支援も欠かせません」と話していました。

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