【ニューヨーク=共同】国連は13日、グテレス事務総長が安全保障理事会に提出した「子どもと武力紛争」に関する年次報告書を公表した。パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルを、子どもの人権を侵害した国に初めて指定した。国連が確認したイスラエル軍などによる重大な人権侵害は5698件に上った。
報告書は、過去1年間の紛争地での子どもの殺傷や性的暴行、徴兵、学校への攻撃などを調査。事例が確認されると、子どもの人権を侵害した国や組織に指定する。指定一覧は、人権団体などから「恥ずべきリスト」とも呼ばれている。
ガザとヨルダン川西岸、東エルサレムでパレスチナの子ども2267人が殺害され、少なくとも206人はイスラエルによるものだと認定し、大半は調査中だとした。
イスラエル軍と戦闘を続けるイスラム組織ハマス、共闘する過激派「イスラム聖戦」も子どもの人権を侵害した組織に指定。ハマスは116件、イスラム聖戦は21件の重大な侵害が確認された。
ウクライナ侵略を続けるロシアも昨年に続き、指定一覧に掲載された。ロシア軍などが59人の子どもを殺害、249回にわたり学校や病院を攻撃した。
13日に記者会見したガンバ国連事務総長特別代表は、昨年、世界全体で3万件以上の子どもの人権侵害が確認されたとして「異常なレベル」だと強調。報告書に記載された事例は「氷山の一角に過ぎない」として、早急に紛争をやめ、子どもの置かれている状況を改善するように訴えた。
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