高層住宅が立ち並ぶ北京郊外の住宅街(2月)

【北京=塩崎健太郎】中国国家統計局が17日発表した1〜3月の業種別国内総生産(GDP)によると、不動産業は実質で前年同期比5.4%減少した。4期連続のマイナスで、12業種のうち唯一、前年同期比でマイナスとなった。

減少率は2023年10〜12月の2.7%減から拡大した。中国の不動産大手、中国恒大集団の資金繰り悪化が明らかになった21年7〜9月は前年同期に比べ3.1%減少した。その後は23年1〜3月に1.3%増に転じたものの、減少傾向となっている。

1〜3月の新築住宅の販売面積は23.4%減だった。23年通年の8.2%減を上回るペースで推移する。3月の新築の在庫面積は23.9%増となり、長引く販売不振で在庫が積み上がり、不動産企業が新たな投資に慎重になっている。

3月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の81%にあたる57都市だった。2月(59都市)から2都市減ったが、10カ月連続で半数を上回る都市で値下がりした。

前月に比べ上昇したのは11都市で、2月の8都市から3都市増えた。横ばいの都市は2都市だった。全70都市の価格変動率を単純平均すると0.34%の下落となった。

都市の規模別で3月の価格変化率の平均をみると、北京、上海、広州、深圳の「1級都市」は前月比0.2%下落した。下げ幅は2月より縮小した。省都クラスの「2級都市」は0.3%、それより小さい「3級都市」は0.4%それぞれ下がった。

取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では69都市で値下がりした。下落都市の数は2月より1都市増えた。

中国の不動産業は関連産業を含めるとGDPの3割を占めるとの試算がある。基幹産業の不振で国内は需要不足の状況が続く。

業種別GDPで不動産業以外の増加率をみると、製造業は前年同期比6.4%増加した。23年10〜12月の伸びを上回った。1〜3月の輸出総額(ドル建て)は前年同期を1.5%上回り、四半期ベースで1年半ぶりのプラスに転じた。好調な輸出が製造業を支えた。

宿泊・飲食業や交通運輸・倉庫・郵便業はそれぞれ7.3%伸びた。情報通信やIT(情報技術)サービスは13.7%増と2ケタの伸びが続いている。

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