“イスラエル戦時内閣のメンバーで意見対立” 米紙報道
イスラエル軍のハガリ報道官は16日「われわれが決めた時期と場所で行動をする」と述べて、あくまでも対抗措置を辞さない姿勢をアピールしました。
こうしたなか、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、イスラエルの戦時内閣のメンバーであるネタニヤフ首相とガラント国防相、それにガンツ前国防相は互いに信頼していないとしてガザ地区での軍事作戦などを巡って意見が対立していると伝えています。
その中で、イランにどう対抗措置をとるかという大きな決断を迫られていると対応の難しさを伝えています。
米高官 “数日中にイランに対し新たな制裁科す計画”
アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は16日、声明を発表し、イランによるイスラエルへの大規模攻撃を受けて、数日中にアメリカとしてイランに対して新たな制裁を科す計画を明らかにしました。
制裁対象としてはミサイルや無人機の開発を含むほか、革命防衛隊や国防当局を支援する団体をあげています。
そして同盟国や友好国も近くイランに対して独自の制裁を科すことを見込んでいるとしています。
またイランのミサイルや無人機による攻撃の有効性を低下させるため、中東地域で、ミサイル防衛と早期警戒システムの強化に取り組むと強調しました。
イスラエル報道官「対応しないわけにはいかない」
イスラエル軍のハガリ報道官は16日「イランの攻撃に対応しないわけにはいかない。われわれが決めた時期と場所で行動をする」と述べて、あくまでも対抗措置を辞さない姿勢をアピールしました。
アメリカのNBCテレビはアメリカ政府の当局者の話として、シリアにあるイランが支援する勢力の軍事施設を攻撃する可能性があるという見方を伝えています。
一方でCNNテレビは関係者の話としてイスラエルがイラン国内への限定的な攻撃を検討しているという情報があると伝えるなど、さまざまな選択肢が取り沙汰されていて、イスラエル側がどのような対応をするか予断を許さない状況です。
イスラエルメディア “ハマス 解放できる人質20人以下”
一方、ガザ地区での戦闘の休止や人質の解放をめぐる交渉について、イスラエルのメディアは、イスラム組織ハマスが、戦闘休止と引き換えに解放する用意ができている人質の数を、20人以下と主張していると報じました。
仲介国などからハマス側に提示された案では40人を解放するとされていたことから「ハマス側は合意を望まず、地域紛争の激化を求めている」とするイスラエル当局者の話などを伝えています。
ハマスは、イスラエル軍のガザ地区からの撤退などを伴う完全な停戦を求めていて、双方の立場は隔たったままで、交渉の行方は一層不透明さを増しています。
プーチン大統領「新たな対立を防ぐこと望む」
ロシアのプーチン大統領はイランのライシ大統領と電話で会談し「地域全体に破滅的な結果をもたらす新たな対立を防ぐことを望む」と述べ、すべての当事者に自制を求めました。
イランがシリアにある大使館が攻撃を受けたことへの報復だとして、イスラエルに大規模な攻撃を仕掛け、中東で緊張が高まる中、ロシアのプーチン大統領は16日、イランのライシ大統領と電話で会談しました。
ロシア大統領府によりますと、この中でプーチン大統領は「すべての当事者が合理的な自制を示し、地域全体にとって破滅的な結果をもたらす新たな対立を防ぐことを望む」と述べました。
これに対しイランのライシ大統領は「イランの行動は必要に迫られたもので、かつ限定的なものだった」と強調すると同時に「イランはこれ以上緊張を高めるつもりはない」と述べたということです。
ロシアは、おととしウクライナへの軍事侵攻を開始してから、イランとの間で軍事的な連携を強めています。
英スナク首相 “冷静さを保つべき”
イギリスの首相官邸はスナク首相が16日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談したと発表しました。
それによりますと、スナク首相は、イスラエルの安全と周辺地域の安定を支持すると伝え、これに対してネタニヤフ首相は、イランがイスラエルに向けて発射した無人機をイギリス軍の戦闘機が撃墜したことに感謝の意を示しました。
さらにスナク首相は、イランは今回の攻撃で国際的に孤立を深めたと指摘するとともに、ネタニヤフ首相に対し事態をエスカレートさせる行為は誰の利益にもならず、中東の治安を悪化させるだけで、冷静さを保つべきだと強調したということです。
一方でスナク首相は、パレスチナのガザ地区の人道危機について重大な懸念を抱いているとした上で、支援物資を搬入するための新たなルートをできるだけ早く開けるなどの対応をとるようイスラエル側に注文をつけたということです。
独ショルツ首相 “エスカレーション止めるための行動を”
中国を訪れていたドイツのショルツ首相は16日、習近平国家主席や李強首相との一連の会談を締めくくる北京で開いた会見で、イランによるイスラエルへの大規模攻撃についても会談で取り上げたとした上で「この状況の中であらゆる国がこれ以上のエスカレーションを止めるため行動することが特に重要だ」と述べ、緊張の緩和に向け中国の役割にも期待を示しました。
一方、中国外務省によりますと、習主席とショルツ首相が中東パレスチナのガザ地区の情勢について、事態の拡大を防ぐべきだという認識で一致したということです。
中東情勢をめぐって、ドイツのベアボック外相は16日、首都ベルリンで開いた記者会見で中東地域の緊張を緩和するためとして、イスラエルを訪問することを明らかにしました。
ドイツ外務省によりますと、ベアボック外相は、17日、ネタニヤフ首相やカッツ外相などと会談を予定しているということです。
対抗措置 同盟国と関係損なうなら「反対」…74%
イスラエルの複数のメディアは16日、ヘブライ大学の世論調査の結果としてイランによる大規模攻撃へのイスラエルの対抗措置について、回答者の74%が同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えたと伝えました。
「タイムズ・オブ・イスラエル」によりますとこの世論調査はヘブライ大学が今月14日と15日にインターネットと電話で実施し、1400人余りが対象となったということです。
イランへの対抗措置について、同盟関係にある国々との関係を損なうのであれば反対すると答えた人は74%にのぼったとしています。
一方、同盟関係にある国々との関係を損ねたとしても対抗措置に賛成すると回答したのは26%だったとしています。
また、持続可能な防衛態勢を確保するため、同盟関係にある国々からの政治や軍事面の要求に積極的に応じるべき、と回答したのは56%にのぼったとしています。
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