ケンタッキーフライドチキンのある店舗は営業を再開していたが、椅子やテーブルは片付けられたままだった(5月、マレーシア・スバンジャヤ)

パレスチナ自治区ガザの情勢が世界の政治・経済に波紋を広げています。遠く離れた東南アジアも無関係ではありません。日本経済新聞社の英文媒体「Nikkei Asia」では5月、マレーシアで100店舗を超す「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」が休業に追い込まれたという記事が読者の関心を集めました。イスラエル寄りの姿勢を崩さない米国に抗議する不買運動の一環で、イスラム教徒が多いマレーシアの市民感情を映し出しています。

取材に応じた40歳代の買い物客は、ボイコットが「(イスラエルによる)パレスチナ占領に対するメッセージを示すうえで効果的だった」と話します。その後も一部店舗では休業が続き、営業している店も客足が少ないところが多いようです。マレーシアや隣国のインドネシアでも「スターバックス」運営会社の業績が悪化しています。

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Malaysia's KFC closes over 100 stores amid consumer boycott

米国と中国の覇権争いの観点から分析した米ランド研究所上級防衛アナリストのデレク・グロスマン氏のオピニオン記事も読まれました。中国はイスラエルとの関係構築を進めてきましたが、同氏は「イスラエルとの架け橋、焼き尽くす中国」と題した記事で「構図は完全に変わった」と指摘しています。

中国のパレスチナ寄りの姿勢は、グローバルサウスの擁護者として「自らを米国主導の秩序に代わる有力な選択肢として位置づけたい願望の表れ」だと論じます。人道危機の裏で進む大国間の駆け引きにも注目する必要があります。

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China is burning all its bridges with Israel

ライフ&アーツ 復活するウズベキスタンの伝統織物

ウズベキスタンのヒバシルクカーペット工房で働く女性

じゅうたんといえばペルシャ(イラン)が思い浮かびますが、中央アジアのウズベキスタンでも古くから生産されてきました。

世界遺産都市ヒバの旧市街に、英国人作家のクリストファー・アスラン・アレクサンダー氏らが2001年に設立したシルクカーペット工房があります。

母から娘へと受け継がれてきた機織りの伝統は、1920年半ばの旧ソビエト連邦編入後の数十年間で衰退しました。女性たちを工場労働者として動員するためだったといいます。

古い写本を頼りに失われたデザインをよみがえらせるなど、文化を紡ぐ努力が続いています。

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Uzbekistan's traditional carpets make a comeback

オピニオン 「ポスト米軍狙い」中国空母の示唆

試験航行を行う中国3隻目の新型空母「福建」=新華社・共同

豪シンクタンク、ロウイー研究所の国際安全保障プログラム・ディレクターのサム・ロッゲビーン氏は、中国の最新鋭空母「福建」が5月上旬に行った初航海の意味を論じました。

中国の狙いが米軍の排除にあるとの見方は、ミサイルやドローンに対する大型艦船の脆弱性を無視した議論だと指摘します。念頭にあるのは米国との直接対決ではなく、米海軍が世界中で果たしてきた「警察」の役目を引き継ぐことではないかと提起します。

アジアにおける主導権の維持に対する米国の関心低下が、中国を「後押しした可能性がある」とも述べています。

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Chinese aircraft carrier's voyage hints at plan for 'post-U.S.' navy

国・地域別トップアクセス

@フィリピン 韓国大手が洋上風力製造拠点

HD韓国造船海洋(旧現代重工業)と米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントが、戦略的パートナーシップ協定を結びました。サーベラスが保有するフィリピン北部ルソン島のスービック港湾施設の造船ドックを改修し、需要拡大が見込まれる浮体式の洋上風力発電設備の製造拠点を設けます。かつては米海軍基地があり現在はフィリピン海軍の拠点ですが、同国はここを経済特区に指定し、開発に注力しています。

@ベトナム 観光地が外国投資のハブに

ベトナム有数の観光スポットで世界遺産の「ハロン湾」があるクアンニン省が海外からの直接投資を集めるハブになっている、という記事が読まれました。海、陸の両方で中国と国境を接する同省は中国のサプライチェーンを利用しやすく、高速道路ができてハノイへのアクセスも改善しました。米中対立でベトナムに生産拠点を移転する企業が増えていることも追い風になっています。

@台湾 野党の立法院強化法案に抗議デモ

5月20日に発足した台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)政権が、立法院で多数を占める野党勢力の攻勢に直面しています。野党側は立法院の権限を大幅に強化する法案を提出しました。頼政権の支持者らが議事堂前で抗議デモを行い、野党側は一旦採決を見送りましたが、その後28日に強行採決で成立させました。

@インド クボタ、インド足場に世界市場開拓

インドの読者に注目されたのは、農機大手クボタの海外戦略でした。クボタは2022年にインドの大手農機メーカーを買収。同国の乗用車市場で最大のシェアを握るスズキに倣い、国内シェア拡大を目指すだけでなく、インド製の農機をアフリカなどに輸出し世界市場を開拓する構えです。

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