【ニューヨーク=斉藤雄太】5日の米株式市場で主要な株価指数が軒並み上昇し、S&P500種株価指数は2週間ぶりに最高値を付けた。米景気の減速で米連邦準備理事会(FRB)が年内に2回以上の利下げを実施するとの見方が盛り返し、株高につながった。人工知能(AI)関連銘柄の業績拡大を見込んだ買いも相場を押し上げた。

S&P500は4日続伸し、前日比1.2%高の5354.03で終えた。5月21日以来の最高値更新となった。ハイテク株中心のナスダック総合株価指数も2%高で5月28日以来の最高値を付けた。ダウ工業株30種平均の終値は96ドル(0.2%)高の3万8807ドルだった。

朝方に米民間雇用サービス会社ADPが発表した5月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を下回った。足元では底堅かった米景気の息切れやインフレの鈍化を示唆する指標が増え始めている。

米金利先物の値動きから市場の織り込む政策金利の予想を示す「フェドウオッチ」によると、年内に2回以上の利下げ予想は米5日夕時点で7割弱となった。1週間前の約35%から倍近い。幅広い年限の米国債利回りに低下(価格は上昇)圧力がかかり、長期金利の指標になる10年債利回りは5日に4.27%台と2カ月ぶり低水準になった。

金利低下は将来の利益成長を強く織り込むハイテク株に追い風になっている。

5日は生成AI向け半導体を手がけるエヌビディアの株価が5%超上がり、時価総額が米史上3社目となる3兆ドル(468兆円)の大台に乗せた。前日発表の決算でAI関連システムの大幅増収を示したヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の株価は11%高になり、AI銘柄にマネーが集中する構図は続く。

5日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)の5月のサービス業景況感は市場予想を上回った。「家賃を除くサービス価格にとって良い兆候ではない」(バークレイズ)と、インフレの根強さを警戒する向きもある。米景気や物価の先行きを巡る見方がなお混在するなか、株式市場では楽観論が優勢になっている。

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