南太平洋の島国パプアニューギニア中部の村で5月に起きた地滑りで、行方不明者の捜索が中止となった。地滑りの再発で、二次災害の恐れがあるためという。AFP通信が5日、軍関係者の話として報じた。現地メディアは「村が集団墓地になる」と伝えている。

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 被災者の捜索を監督する軍の少佐はAFPの取材に、現時点で捜索が再開する見込みがなく、被災地周辺が立ち入り禁止区域になると説明。「危険過ぎる。これまで見た中で、最悪で最大の地滑りだ」と語った。

 AFPが4日に入手した政府の内部報告書では「近く、さらなる地滑りが発生する可能性が高い」と警告されている。捜索や復旧作業に使用する重機の振動が地滑りを誘発する懸念もあるという。

「できること、ほとんどない」

 また、現地紙ポスト・クーリエによると、現地住民らでつくる災害対策チームのリーダーが5日に記者会見し、「被災者には気の毒だが、捜索のためにできることがほとんどない」と無念な思いを語った。その上で、捜索中止に同意したことを明かしたという。

 地滑りは首都ポートモレスビーから約600キロ北西の山岳地帯にあるエンガ州で、5月24日未明に発生した。多くの人が就寝中に、土砂や倒壊した建物の下敷きになったとみられている。

 パプアニューギニア政府は3日後、2千人以上が生き埋めになったと国連に報告した。一方で、軍の少佐は死者数は約650人とみられると話した。村の人口の正確な記録がないため、被災者数の情報は錯綜している。現地の保健当局によると、これまでに収容された遺体は9人にとどまっている。(バンコク=大部俊哉)

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